生後10ヶ月になると、言葉に反応したりつかまり立ちをしたりする赤ちゃんが増えてきます。
身体や心、言葉の発達が進む時期のため、赤ちゃんの成長を感じることが多くなるでしょう。
今回は、生後10ヶ月の赤ちゃんの成長や発達、1日の生活リズムについて詳しく解説します。
<この記事で分かること>
生後10ヶ月の赤ちゃんに出来ること・・・発達に伴い出来ることが増える!
1日の過ごし方・・・離乳食が3回食になり生活リズムが整い始める
発達障害の兆候・・・子どもの発達には個人差があるため、この時点では判断しにくい
おすすめのおもちゃ・・・積み木・パズル・プルトーイなど発達段階に合わせて選ぶことが大切!
高橋 公一
医療法人社団高栄会みさと中央クリニック院長
専門領域:小児科
高橋先生の監修した記事一覧
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生後10ヶ月赤ちゃんの成長・発達の特徴
まずは、生後10ヶ月の赤ちゃんについて、身長・体重、身体・言葉・心の発達の特徴を見ていきましょう。
成長(身長・体重)
厚生労働省が発表した「平成22年乳幼児身体発育調査」によると、生後10〜11ヶ月の赤ちゃんの身長・体重目安は以下の通りです。
男の子 | 女の子 | |
身長 | 68.4~77.4cm | 66.5~75.6cm |
体重 | 7.34~10.59kg | 6.86~10.06kg |
服のサイズ | 70cm | |
おむつのサイズ | Mサイズ |
身体の発達(出来るようになること)
ここでは、生後10ヵ月の赤ちゃんの身体的な発達について紹介します。
生後10ヶ月頃になると、全身の筋肉が発達し、身体を上手に使えるようになるため、つかまり立ちができるようになる赤ちゃんが増えてきます。
最初はバランスを崩して転んでしまうこともありますが、徐々に足の裏でしっかり立てるようになり、安定してくると伝い歩きを始める子もいます。
事故防止のために、床にジョイントマットを敷く、家具の角に保護カバーをつける、階段にベビーゲートを取り付けるなど、部屋の安全対策をしっかりと行いましょう。
生後10ヶ月の赤ちゃんは、手先が器用になり、親指と人差し指の2本で小さなものをつかめるようになります。
誤飲事故につながりやすいため、小さなものは赤ちゃんの手の届かない場所にしまうようにしましょう。
また、手先が器用になることで、自分から食べ物を掴んで食べる「手づかみ食べ」を始める子も増えます。
食べ物を手で掴んでぐちゃぐちゃにしたり、テーブルになすりつけたりする「遊び食べ」をすることもあるでしょう。
「手づかみ食べ」や「遊び食べ」は、好奇心に基づいた探索行動で、赤ちゃんは感触や温度などを体験して学んでいます。
行儀が悪く見えても、大切な成長過程のひとつと捉え、優しく見守るようにしましょう。
言葉の発達
ここでは、生後10ヵ月の赤ちゃんの言葉の発達について紹介します。
生後10ヶ月頃になると、大人が話す言葉を少しずつ理解するようになります。
「ママ」「パパ」「ブーブー」「おいで」「ちょうだい」など、さまざまな言葉に反応するようになり、自分の名前を呼ばれると返事をしたり、「バイバイ」というと手を振ったりする子もいます。
また、言語発達の初期段階として、「マンマンマン」「タッタッ」など、唇や舌を使った音を出すようになります。
早い子では、「ママ」「マンマ」など最初の単語を話すこともあり、徐々に言葉を使ったコミュニケーションが楽しくなるでしょう。
心の発達
ここでは、生後10ヵ月の赤ちゃんの心の発達について紹介します。
生後10ヶ月は、赤ちゃんに自我が芽生え、自己主張が強くなる時期です。
まだ言葉でうまく表現できませんが、「やりたい」「やりたくない」といった気持ちをさまざまな行動で示すようになります。
たとえば、 抱っこして欲しい時は手を広げたり、欲しいものがあると指差しをしたり と、積極的に自分の気持ちを伝えようとする一方で、 やりたくないことがあると泣いたり、怒ったりすることもあります。
また、声をかけても無視したり、手を払い除けたりするなど、大人の期待通りにいかないこともあるでしょう。
つかまり立ちや伝い歩きができるようになると、行動範囲が広がり、好奇心旺盛になります。
探究心が強くなり、いろいろなものを触ったり、ひっくり返したり、引っ張り出したりして、活発に遊びます。
一見いたずらのように見えますが、これは成長や発達に欠かせない大切な行動です。
親は安全に遊べる環境を整え、見守ることが大切です。
生後10ヶ月の生活リズム・スケジュール
ここからは、生後10ヶ月の赤ちゃんの生活リズム・スケジュールを紹介します。
個人差がありますが、生後10ヶ月の赤ちゃんの1日の過ごし方は以下の通りです。
離乳食
生後10ヶ月は離乳食後期にあたり、朝・昼・晩の1日3回食に移行し、食事のリズムを少しずつ作っていく時期です。
食事の間隔は4〜5時間程度あけて、大人と同じ時間に食事をする習慣づけを心掛けましょう。
食材は、5〜7ミリ角程度に切り、歯茎で潰せる程度の柔らかさに調理します。
この時期は、手づかみ食べを始める子が多いため、手で持ちやすい食材やメニューを取り入れると、食事の楽しさをより感じてくれるようになります。
授乳回数・ミルクの量
授乳回数の目安は、1日4〜5回程度で、そのうち3回は離乳食後に与えます。
1回の授乳量は、母乳・ミルクともに200ml程度が目安です。
1日に必要な栄養の半分は離乳食から、もう半分は母乳やミルクから摂ることが理想です。
ただし、離乳食をよく食べる赤ちゃんの場合、授乳量が減ることがあります。
このような場合は、離乳の進み具合に合わせて、ミルクの量を調整してあげましょう。
おむつ替えの頻度・うんち
おむつ替えの頻度は、1日8回以下になることが多いですが、回数にとらわれず、汚れたらこまめに交換してあげることが大切です。
生後10ヶ月頃になると、うんちの回数は1日1〜2回程度になります。
離乳食の開始や消化機能の発達に伴い、うんちは次第に固くなり、においや形も大人のものと似たような状態になってきます。
歯磨き
歯が生える時期には個人差がありますが、生後10ヶ月になると、下の前歯(乳中切歯)と上の前歯(乳中切歯)が生え揃い、多くの赤ちゃんが4本の歯を持つようになります。
離乳食やミルクの汚れが歯に残り、虫歯のリスクを高めるため、赤ちゃん用の歯ブラシを使って、1日1〜2回を目安に歯磨きをしてあげましょう。
とくに、寝ている間は虫歯菌が繁殖しやすいので、昼寝前や寝る前に磨くことをおすすめします。
歯磨きを嫌がる赤ちゃんもいるため、無理強いせず、 赤ちゃんの様子を見ながら、少しずつ回数を増やしていくと良いでしょう。
睡眠時間・お昼寝
生後10ヶ月になると、睡眠時間は1日10〜12時間程度になり、夜にまとめて眠れるようになってきます。
一般的には、午前と午後の1回ずつ、1日2回のお昼寝が目安ですが、赤ちゃんによっては午前の昼寝をしなくなる場合もあります。
乳児の心と身体の発達には、規則正しい生活を送ることが大切です。
そのため、起床時間やお昼寝の時間、夜寝る時間を決めて、毎日同じようなリズムで過ごせるようにしてあげると良いでしょう。
生後10ヶ月の赤ちゃんに関する気になる質問
ここでは、生後10ヶ月の赤ちゃんに関する気になる質問と回答を紹介します。
生後10ヶ月健診では何をチェックしますか?
自治体によって異なりますが、生後10ヶ月の健診では、以下のようなことをチェックします。
- 体重・身長・頭囲・胸囲の測定
- 発達状況(おすわり・ハイハイ・つかまり立ちなど)の確認
- 離乳食の進み具合・栄養状態の確認
- 歯の生え具合の確認
- 心音・視覚・聴覚・皮膚の状態などの確認
- 喃語(なんご)の確認
- 愛着の形成の確認
- 姿勢反射の確認(ホッピング反応・パラシュート反応)
検診では育児に関するアドバイスも受けられるので、気になることや悩みなどがあれば相談してみましょう。
生後10ヶ月頃に見られる発達障害の兆候はありますか?
生後10ヶ月頃に見られる発達障害の特徴には、以下のようなものがあります。
- お座りをしない
- 手を伸ばしておもちゃを取らない
- つかみ方がおかしい(親指と人差し指・中指の2本でつかむのが普通)
- 片方の手をつかわない
- 下肢を着かない
- 反応が鈍い、追視しない
- 呼んでも振り向かない
- つま先立ちする
- つかまり立ちさせようとしても足をつきたがらない
子供の発達には個人差があるため、このような特徴に当てはまるからといってすぐに発達障害と判断されるわけではありません。
不安がある場合は、健診の際に医師に相談してみましょう。
生後10ヶ月の赤ちゃんにおすすめの遊びやおもちゃは何ですか?
手先が器用になってきた10ヶ月の赤ちゃんには、積み木やパズルなど、細かい作業を必要とする遊びがおすすめです。
パーツを組み合わせてみたり、形を合わせたりする遊びを通して、指先の巧緻性を高めることができます。
つかまり立ちや伝い歩きを始めた赤ちゃんには、紐を引っ張って動かす「プルトーイ」のようなおもちゃがおすすめです。
身体を動かしながら、紐を引っ張ることで、手と目の協調性や大まかな動作の発達を促します。
また、絵本を読み聞かせることも、この時期の赤ちゃんにはとても大切です。
絵を見て言葉と結びつけたり、お話の世界に想像力を膨らませたりする経験は、言葉の発達を促し、豊かな心を育みます。
生後10ヶ月頃は少しずつ言葉を理解する時期!たくさん話しかけよう!
生後10ヶ月は、言葉の意味を少しずつ理解し始め、大人の言葉を真似しようとする時期です。
たくさん話しかけたり、絵本を読み聞かせたりすることで、言葉の発達が促され、コミュニケーション能力が育まれます。
この時期の赤ちゃんは、好き嫌いがはっきりし、好奇心も旺盛です。
新しいものに興味を示し、積極的に探索しようとします。
成長を感じられる一方で、お世話が大変に感じることもあるでしょう。
家族や周囲のサポートを受けながら、赤ちゃんの成長を温かく見守ってあげてください。
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