赤ちゃんがなかなか寝付けずに、泣いたりぐずったりする「寝ぐずり」。
そんな寝ぐずりに悩んでいるママやパパもたくさんいるのではないでしょうか。
今回は、寝ぐずりが続く時期や、寝ぐずりを防ぐための対策、そして寝ぐずりしてしまった時の対処法について詳しく紹介します。
榎本 美紀
助産師・国際ラクテーションコンサルタント
みき母乳相談室:http://miki-bonyu.net/
大学病院や公立の周産期センターで助産師として勤務後、2013年埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。2015年に娘を出産し、育児に奮闘しながら地域の母乳育児を支援しています
榎本先生が監修した記事一覧
https://kodomonosiro.jp/specialist/specialist-2175/
<この記事で分かること>
寝ぐずりはいつまで続く?・・・1歳〜1歳半頃までのケースが多い
寝ぐずりの原因・・・生理的な反応の場合もある!
寝ぐずりさせないコツ・・・4つのポイントをおさえれば解消するかも?!
先輩ママたちの体験談・・・赤ちゃんの個性にあわせて対処することが大切!
【寝ぐずりとは】いつまで続く?
「寝ぐずり」とは、赤ちゃんが眠る前に機嫌が悪くなり、泣いたりぐずったりする状態を指します。
ウィステリア製薬が行った調査では、約9割の赤ちゃんが寝ぐずりを経験するという結果が出ました。
「寝ぐずりが続いた期間」については、「1歳半まで」が最も多く、次いで「1歳まで」という回答が得られました。
赤ちゃんによって個人差は大きいものの、長引くケースが少なくないことがわかります。
寝ぐずりの原因
ここでは、寝ぐずりの主な原因を3つ紹介します。
心理的な問題(不満・不安)
赤ちゃんがぐずって寝ないときは、心理的な問題が原因となっている場合があります。
赤ちゃんは、言葉でうまく気持ちを伝えられないため、泣いたりぐずったりして自分の気持ちを表現します。
- 寝室が暑い・寒い
- お腹が減った
- おむつが気持ち悪い
- 肌がかゆい
- 眩しい
- うるさい
その他にも、「まだ遊びたい」「まだ寝たくない」といった時に、ママやパパに甘えて泣いたりぐずったりして意思表示をしている場合があります。
赤ちゃんは、いつもと違う環境や状況に不安を感じて、寝付けなくなることがあります。
たとえば、いつもと違う人が寝かしつけをしたり、寝慣れない場所で寝させられたりすると、不安で眠れなくなってしまうのです。
他にも、日中に人混みの多いところに出かけたり、引っ越しで環境が大きく変わったりすることも、赤ちゃんに不安を与え、寝ぐずりの原因になることがあります。
脳の構造の問題
赤ちゃんが寝ぐずりをするのは、脳の構造が関係している場合があります。
私たちの脳には、感情を司る『大脳辺縁系』と理性を司る『前頭葉』という部分があります。
赤ちゃんは、まだ脳が未熟なため、夕方から夜にかけて疲れてくると前頭葉の働きが弱くなり、感情を司る大脳辺縁系の働きの方が強くなります。
それによって泣いたりぐずったりしてしまうのです。
これは、大人が疲れるとイライラしたり、感情的になったりするのと同じ現象です。
寝る前の生理的な反応
寝ぐずりは、自律神経のバランスが崩れることで起こることがあります。
自律神経には、昼間や活動しているときに優位になる交感神経と、リラックスしているときや睡眠時に優位になる副交感神経があり、身体の内と外の環境によって自動的に切り替わりながら、体を調整しています。
通常、睡眠時にはリラックスを促す副交感神経が優位になりますが、赤ちゃんはまだ自律神経の切り替えがうまくできません。
そのため、一度大泣きすることで自律神経を切り替えようとしていると言われています。
生理的な反応で寝ぐずりしている場合は、無理に泣き止ませたり、寝かしつけようとしたりせずに、赤ちゃんが落ち着くまで優しく見守ることが大切です。
寝ぐずりさせないための対策・コツ
ここからは、寝ぐずりさせないための対策・コツを4つ紹介します。
睡眠環境(温度・湿度・明るさ)を整える
赤ちゃんが快適に眠れるよう睡眠環境を整えてあげましょう。
赤ちゃんが眠りやすい室内温度は、夏は26〜28度、冬は20〜23度が目安です。
室内外の温度差は5度以内、湿度は60%程度を目安に調節してあげましょう。
温湿度計があるとわかりやすく便利です。冬のように空気が乾燥しやすい時期は加湿をするようにしましょう。
赤ちゃんは体内時計が未発達のため、明るさをコントロールしてあげると昼夜のリズムが整って眠りにつきやすくなります。
昼間はカーテンを開けて日光を浴びせて、夕方〜夜は遮光カーテンで暗くして静かな環境を作りましょう。室内の蛍光灯を暖色系にするのも効果的です。
いつも同じ環境で寝かせる
赤ちゃんがぐっすり眠るためには、寝る環境を常に一定にすることが大切です。
明るさや音、室温などを統一することで、体内時計が整い、スムーズに眠りにつくことができます。
寝室の場所は、夜はもちろん、お昼寝も同じ場所で寝かせるようにしましょう。
そうすることで、赤ちゃんは「ここは寝る場所」と認識し、安心して眠りにつくことができます。
就寝前のルーティンをつくる
毎日同じような流れで寝かしつけを行う「就寝前のルーティン」は、赤ちゃんが安心して眠りにつくための大切な習慣です。
<例>
お風呂に入る→おむつを替える→保湿する→授乳する→歯磨きをする→絵本を読む→ベッドに寝かせる
毎日同じ流れで寝かしつけを行うことで、「これが始まると眠る時間なんだな」と赤ちゃんが理解するようになり、寝つきが良くなります。
また、夕方から夜間には刺激が多い遊び(身体を活発に動かす・映像をみるなど)を避けるのもポイントです。
就寝前のルーティンは、以下のポイントをおさえて、各家庭に合うものを決めておきましょう。
就寝前のルーティンは、なるべく同じ時間に始めましょう。
毎日同じ時間にルーティンを始めることで、生活リズムが整いやすくなります。
就寝前のルーティンは一貫性を持つことが大切なので、毎日続けやすく無理のないルーティンにしましょう。
寝かしつける人が変わっても同じ流れで行えるようにしておくと、続けやすくなります。
赤ちゃんの月齢や成長に合わせて、ルーティンに変化を加えてみましょう。
たとえば、絵本を違うものに変えたり、一緒に歌を歌ったりするなど、赤ちゃんの好みや発達に合わせる工夫が大切です。
活動時間を意識する
活動時間とは、赤ちゃんが気持ちよく活動できる時間のことを指します。
活動時間を超えると、疲れすぎて興奮状態になり、寝つきが悪くなることがあります。
月齢別の活動時間の目安は以下の通りです。
月齢 | 活動時間の目安 |
---|---|
0〜1ヶ月 | 〜約40分 |
1〜2ヶ月 | 約40分〜1時間 |
2〜3ヶ月 | 約1時間〜1時間20分 |
4〜5ヶ月 | 約1時間20分〜1時間30分 |
6〜8ヶ月 | 約2時間〜2時間30分 |
9ヶ月 | 約2時間30分〜3時間 |
10ヶ月〜1歳2ヶ月 | 約3時間30分〜4時間 |
1歳3ヶ月〜1歳半 | 約4時間〜6時間 |
1歳半〜3歳 | 約6時間 |
月齢にあった活動時間を目安に寝かしつけを行うことで、寝ぐずりが減る可能性が高まります。
ただし、上記の時間はあくまで目安です。個人差があるので、赤ちゃんの様子を見ながら調整してください。
寝ぐずりはどのぐらい放置しても良いの?
泣いている赤ちゃんを見るとかわいそうに思い、すぐに泣き止ませてあげなきゃいけないと焦ってしまうかもしれません。
しかし、何をしても泣き止まない時は、焦らずに一旦様子をみましょう。
安全な場所に赤ちゃんを寝かせて、目を離さないように見守ります。
その際、優しくトントンしたり、なでたりするのもおすすめです。
時間としては、10〜15分程度で長くても30分以内が目安です。ただし、あくまでも目安なので、赤ちゃんの様子を見ながら判断してください。
先輩ママ直伝!寝ぐずりした時の対処法
ここでは、先輩ママたちの体験談を紹介します。
どのような方法で寝ぐずりの時期を乗り越えたのか、先輩ママたちの対処法を参考にしてみましょう。
我が家は3人の子どもを育てましたが、3ヶ月くらいからネントレを始めて自分で眠りにつく習慣がついてからは寝ぐずりはほとんどしなくなりました。寝ぐずりは赤ちゃんが寝たいのに寝れない状態なのだと思います。
最初は泣くので不安もあると思いますが赤ちゃん自身の眠る力を信じてトレーニングするのが一番効果ありだと思います。
眠る時の条件を整えること(暗い部屋、いつも同じベッド、スワドルを着せること、ぬいぐるみやタオルなど本人の安心グッズ)もぐずらないで眠りに入るのに効果があったと思います。
うちはあまり寝ぐずりはしなかったのですが、呼吸に合わせてトントンする、子どもの呼吸に合わせてこちらも呼吸する、おしりに手を支えてゆらゆらするのが効果的でした。
眠りのときの音楽はいつも同じものにしておくと、リラックスしてすぐ寝てくれた
生後3か月頃くらいの早い段階から、泣いていてもすぐに駆け付けずに見守り、一人で寝かせる練習をすると、寝ぐずりが少なくなるのでおすすめです。
自分のつけていた授乳ブラを、寝ぐずりした時は赤ちゃんに渡しました。すると、その匂いで落ち着いて寝てくれるようになったので良かったです。
少し大変ですが、ぐずったときは夜中でもドライブをしていました。寝た頃にチャイルドシートごと降ろして、そのまま寝かせることも。
ぐずると早く泣き止ませなきゃと不安になると思いますが、泣きたい時は泣かせておいて大丈夫。母乳もあげてオムツも替えたのなら泣きたくて泣いてるだけなので隣に寝転がってトントンしてあげながら泣かせてあげるといいと思います。
背中スイッチが発動しても困るので抱っこはせずに、ひたすらお腹をトントンしたり、おしゃぶりさせたり、お雛巻きで寝かせていたら寝ぐずりしなくなった。
おしゃぶり!おしゃぶりは全然悪いものではなく、忙しいママの味方!現在小学生になった娘は、歯医者で褒められるくらい歯並びがキレイです。心配せず、おしゃぶりに頼っても良いと思う。
おしゃぶりは、赤ちゃんが落ち着いて眠るためのアイテムとして有効な場合もあります。
しかし、長時間のおしゃぶりは、歯並びや口の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
寝入ったら外し、2歳頃を目安に卒業させるようにしましょう。
赤ちゃんによって効果的な方法は異なるので、さまざまな方法を試しながら、ご家庭にあった方法を見つけていくことが大切です。
寝ぐずりは生理的な反応の場合も!神経質になりすぎないことが大切
多くのパパ・ママを悩ませる「寝ぐずり」。
寝ぐずりは、生理的な反応が関係している場合もあるので、「泣き止ませなきゃ」と神経質になりすぎないことが大切です。
まずは、赤ちゃんがぐっすり眠れるよう、睡眠環境を整えたり、毎晩のルーティンを決めたり、赤ちゃんにあった工夫をしてみましょう。
寝ぐずりも赤ちゃんの成長段階のひとつと考えて、家族や周りの人にサポートしてもらいながら乗り越えてくださいね。
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