赤ちゃんが自分の力で寝れるように習慣づける「ネントレ(ねんねトレーニング)」。

今話題の育児法の一つですが、「興味はあるけれどやり方がわからない」「精神面への悪影響がないのか心配」というような声もよく聞かれます。

この記事では小児科医監修の元、ネントレの正しいやり方から、成功するためのポイントまで詳しく解説します。

監修医師 東京シティクリニック大山 白井 沙良子
白井 沙良子

白井 沙良子

慶應義塾大学医学部 卒業 / 小児科医として、都内クリニックにて勤務

株式会社Kids Publicにて、小児科・産婦人科へのオンライン医療相談を運営 / 毎日新聞「医療プレミア」にて毎月連載

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目次

ネントレ(ねんねトレーニング)とは

「ネントレ(ねんねトレーニング)とは、赤ちゃんが自分の力で眠りにつけるよう、寝かしつけの方法を徐々に変えていくトレーニングのことです。

欧米では、赤ちゃんを1人で寝かせる文化が根付いており、ネントレはその中で生まれた育児法です。

ネントレにはさまざまな方法がありますが、共通して、赤ちゃんが抱っこや添い寝に頼らず、自分で眠る習慣を身につけることを目指しています。

ネントレによって赤ちゃんが夜通し眠れるようになると、赤ちゃんの成長に良い影響があったり、親の睡眠不足解消につながったりと、さまざまなメリットが期待できます。

ネントレはいつから始めるべき?

生後3か月を過ぎると、夜通し眠れるようになる赤ちゃんが増えてきます。

身長や体重などの発育に問題がなければ、夜間に無理やり起こして授乳する必要はありません。

しかし、夜間授乳が頻繁な場合は、夜間断乳をしてネントレをするかどうかは、医師との相談が必要です。
これは、夜間断乳によって赤ちゃんの成長に影響が出る可能性があるためです。

一般的に、生後5〜6か月を過ぎ、離乳食が順調に進み、発育が良好な場合は、夜間断乳を検討しても良いとされています。

ネントレの正しいやり方

ネントレには、さまざまな方法がありますが、ここでは、赤ちゃんはもちろん、ママやパパにも負担が少なく、スムーズにネントレを進められる「タイムメソッド法」を紹介します。

ステップ①眠る前のルーティーンを行う

まずは、毎日同じ順番で行う「眠る前のルーティン」を定着させましょう。 

例えば、【お風呂→パジャマに着替える→絵本を読む→おやすみの挨拶】といった流れを毎日繰り返すことで、「この後は寝る時間なんだ」と自然に理解できるようになります。

ルーティンを始める前には、十分なスキンシップをとることも大切です。

起床時にたくさんの愛情を受けると、安心感を得てスムーズに眠りにつきやすくなります。

ルーティンを作る上でのポイントについては、<4-2>で詳しく解説します。

ステップ②おやすみの挨拶をして部屋を出る

眠る前のルーティンが終わったら、「大好きだよ、おやすみ」とおやすみの挨拶をしてベビーベッドに寝かせ、30秒以内に部屋を出ましょう。

ステップ③こまめに様子を見に行く

ネントレを始めてすぐは、赤ちゃんが泣いてしまうことがあります。

そのまま放置するのではなく、泣いている場合は数分おきに様子を見に行きましょう。

【ネントレの進め方:初日】

1回目激しく泣いていたら部屋の外で3分計る

泣き続けていたら部屋に入って対処し、1分以内に部屋を出る
2回目激しく泣いていたら部屋の外で5分計る

泣き続けていたら部屋に入って対処し、1分以内に部屋を出る
3回目以降激しく泣いていたら部屋の外で8分計る

泣き続けていたら部屋に入って対処し、1分以内に部屋を出る

3回目以降は待機時間8分を保ち、入室→退室→待機を繰り返しましょう。

おむつやお腹が空いている場合、緊急の場合でなければ、赤ちゃんを抱き上げないのが基本です。

泣いていてもすぐに手を出さずに、【そばにいる→声かけをする→トントンやなでなでする】の順に試して、赤ちゃんが自分の力で落ち着くのを待ちましょう。

ステップ④様子を見に行くまでの時間を少しずつ伸ばす

「タイムメゾット法」は、様子を見に行くまでの時間を少しずつ伸ばして、徐々に1人で寝ることに慣れさせるのがポイントです。

日ごとに決められた待機時間をしっかり守るようにしましょう。

日数1回目2回目3回目以降
1日目3分5分8分
2日目5分8分10分
3日目8分10分12分
4日目10分12分15分
5日目12分15分18分
6日目15分18分20分

待機時間は泣き始めてから計ります。

泣いていない場合は、部屋に入らずにそのまま様子を見ましょう。

ベビーモニターを使うと、赤ちゃんの様子を確認できるのでおすすめです。

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ネントレを成功させるコツ

ネントレを成功させるには、睡眠環境を整えてあげることが大切です。

ここでは、ネントレを成功させるコツを5つ紹介します。

生活リズムを整える

ネントレを成功させるためには、日中の生活リズムを整えることが大切です。

不規則な生活を送っていると、夜になってもなかなか眠れず、ネントレの効果が出にくいことがあります。

ネントレを行う際は、朝起きる時間や食事の時間、お風呂に入る時間、寝る時間を決めて、生活リズムを確立させましょう。

毎日決まった時間にカーテンを開け、朝日を浴びることも大切です。

明るい光を浴びて朝にセロトニンが作られることで、夜にメラトニンが生成され、寝付きがよくなります。

眠る前のルーティンをつくる

眠る前のルーティンを作って、寝る時間を認識させてあげましょう。

ルーティンを作ると「この後はおやすみの時間だ」と赤ちゃんが理解できるため、寝ることに納得しやすくなり、心と体の準備が整います。

毎日一貫性を持って行うことが大切なので、無理をせずに必ずやれることをルーティンにしましょう。

例えば、【お風呂に入る→授乳する→絵本を読み聞かせる→明かりを暗くする→子守唄を歌う→ネントレ】というように行います。

ルーティーンの内容は、赤ちゃんの成長や性格、家族の取り入れやすさなどを考慮して、各家庭に合うものにしましょう。

眠りやすい環境を整える(照明・空調・寝室)

照明・空調・寝室に注意を払い、赤ちゃんが眠りやすい環境を整えることも大切です。

照明眠るときは部屋の照明を消して真っ暗にしましょう。
光に敏感な赤ちゃんは少しの明かりでも目が覚めてしまうことがあります。
遮光カーテンを使う、電子機器の動作ランプをマスキングテープや布で覆うといった工夫もしてみましょう。
空調快適に眠れるように、室温や湿度を調整してあげましょう。

・室温目安:18〜22度(季節問わず)
・湿度:60%程度
寝室赤ちゃんがぐっすり眠れるように、ホワイトノイズを使用しましょう。
お気に入りのぬいぐるみや寝具を使って安心感を与えるのもおすすめです。
(※ぬいぐるみは寝付いたらベビーベッドから取り除くなど、安全に十分考慮してください)

泣いてもすぐに抱き上げない

赤ちゃんの中には、眠っている間に泣きながら寝言をいう子もいます。

このような場合、すぐに抱っこしたり、あやしたりしてしまうと、かえって睡眠を妨げてしまう可能性があります。

また、寝かしつけの際にいつも抱っこや授乳することが習慣になっていると、赤ちゃんはそれがないと眠れなくなってしまうことがあります。

これを「入眠時関連型の夜泣き」といいます。

「泣くと必ず大人が相手をしてくれる」と赤ちゃんが覚えてしまうと、自分で気持ちを落ち着かせる練習ができなくなり、なかなかひとり寝ができなくなってしまいます。

赤ちゃんが自分で気持ちを落ち着かせる力を養うためにも、特に緊急性がない限りは、少し様子を見るようにしましょう。

昼寝・夕寝をやめない

赤ちゃんが機嫌よく起きていられる時間のことを「活動時間」といいます。

活動時間は、赤ちゃんの月齢によって異なり、この時間を超えてしまうと、赤ちゃんは疲れすぎて興奮状態になり、眠れなくなることがあります。

【月齢別・活動時間】

月齢活動時間の目安
0〜1ヶ月〜約40分
1〜2ヶ月約40分〜1時間
2〜3ヶ月約1時間〜1時間20分
4〜5ヶ月約1時間20分〜1時間30分 
6〜8ヶ月約2時間〜2時間30分 
9ヶ月約2時間30分〜3時間
10ヶ月〜1歳2ヶ月約3時間30分〜4時間
1歳3ヶ月〜1歳半約4時間〜6時間
1歳半〜3歳約6時間

【月齢別・1日の睡眠時間】

月齢1日の睡眠時間の目安
0~1ヶ月16~18時間
1~3ヶ月14~15時間
3~6ヶ月13~14時間
6~12ヶ月11~13時間
1~3歳11~12時間

夜通し寝させようと、昼寝や夕寝を完全にやめてしまうのは、かえって逆効果です。

活動時間を超えてしまうと、夜眠れなくなり、赤ちゃんの生活リズムが乱れてしまいます

たとえば、新生児は活動時間が40分なので、40分を目安に寝かせるようにしましょう。

月齢に合わせて、活動時間と睡眠時間のバランスを調整することで、赤ちゃんがぐっすり眠れるようになります。

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ネントレについての気になる質問

ここでは、ネントレについての気になる質問と回答を紹介します。

ネントレで泣かせっぱなしにしていても問題ない時間はどのくらいですか?

明確に推奨されている時間はありません。

ネントレの方法にはさまざまなものがあり、赤ちゃんを泣かせっぱなしにすることを推奨するメソッドも存在します。

一部の小児科医は、このような方法を支持している場合もあります。

その一方で、赤ちゃんとの愛着形成に悪影響を及ぼす可能性があるという意見もあり、泣かせ続けるメソッドに問題があると考える医師もいます。

ネントレは必ずした方が良いですか?

ネントレは、必ずしも全ての赤ちゃんに必要というわけではありません。

ネントレは、赤ちゃんが寝ないことで「家族の健康に影響が出ている」「負担やストレスを感じている」という家庭におすすめです。

寝かしつけに負担を感じてなく、「寝かしつけの時間を親子で過ごす大切な時間」とポジティブに捉えている家庭なら、無理にネントレをする必要はありません。

赤ちゃんの様子や、ご家庭の育児方針に合わせて、最適な方法を選択してください。

ネントレを行うことで赤ちゃんの精神面に悪影響はないですか?

ネントレは医学研究によって、赤ちゃんの精神面の発達に悪影響を与えないことが証明されています。

むしろ、ネントレによって親子の睡眠の質が向上し、結果的に親子関係が円滑になるという報告もあります。

ただし、ネントレは全ての赤ちゃんに合うわけではありません。

赤ちゃんの月齢や性格、家庭環境など、さまざまな要因によって効果や影響は異なります。

ネントレを行う際は、赤ちゃんの様子を注意深く観察しながら進めるようにしましょう。

無理にネントレを行う必要はない!自分たちのペースで取り組もう!

赤ちゃんが自らの力で眠れるようにトレーニングをする「ネントレ」。

今回紹介したやり方は、赤ちゃんの夜泣きや、長時間に及ぶ寝かしつけが負担になっているママ・パパにぜひ試してみていただきたい方法です。

ただし、寝かしつけは必ずしも全ての赤ちゃんに必要なものではありません。

寝かしつけの時間が、「親子にとってかけがえのない時間」になっている場合は、無理にネントレをする必要はありません。

大切なのは、赤ちゃんが安心して眠れる環境を整え、健やかに成長することです。

ネントレに固執せず、ご家族にとって最善の方法を見つけてくださいね。

#ネントレ #夜泣き #寝かしつけ 

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