赤ちゃんの手を握る

生後1ヶ月は、赤ちゃんにとって目覚ましい成長と変化の時期です。
その一方で、睡眠や授乳、体調管理など、親御さんにとって不安や疑問が多い時期でもあります。
この記事では、医師監修のもと、生後1ヶ月の赤ちゃんの発育、睡眠、授乳、注意点について詳しく解説します。

監修医師 おかもと小児科・アレルギー科院長 岡本 光宏 
岡本光宏

2009年奈良県立医科大学医学部卒業後、神戸大学大学院医学研究所小児科学分野に入局。

2023年から現職。小児科専門医およびアレルギー専門医の資格を持つ。

新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診療している。3児のパパとして、子育て経験も豊富。

目次

生後1ヶ月赤ちゃんの発達の特徴

ここでは、生後1ヶ月の赤ちゃんの身長や体重の目安、視力・聴力、反応、睡眠時間などの特徴を紹介します。

成長(身長・体重)

生後1〜2ヵ月未満の赤ちゃんの身長・体重の目安は以下の通りです。

男の子女の子
身長50.9cm〜59.6cm50.0cm〜58.4cm
体重3.53kg〜5.96kg3.39kg〜5.54kg
出典:厚生労働省/平成22年 乳幼児身体発育調查報告書

個人差はありますが、生後1ヶ月〜2ヶ月未満の赤ちゃんは生まれたときから身長が5〜7cm伸び、体重は1〜2kg程度増えます。

あくまでも目安なので、赤ちゃんによって範囲から外れることもあります。
ちなみに、生後1ヶ月の赤ちゃんは新陳代謝が良いため、平熱は36.5〜37.5度程度で、大人よりも体温は高めです。

視力・聴力

生後1ヶ月の赤ちゃんの視力は0.01〜.0.05程度で、約30㎝の距離にあるものがだんだん見えるようになってくる時期です。
動くものを目で追うスピードも上がり、ママ・パパの顔をじっと見つめたり、手足をばたつかせて反応したりするようになってきます。

聴覚はお腹の中にいるときから発達しており、よく聞こえています。
ママ・パパの声に興味を持ち始める頃なので、顔を近づけて積極的に話しかけてあげましょう。

反応

生後1ヶ月の赤ちゃんは、まだ自分の意思で体を動かせませんが、生まれつき備わった「原始反射」と「ジェネラルムーブメント」と呼ばれる動きを見せます。

原始反応(原子反射)

原始反応は何らかの刺激によって、無意識に反応する反射運動のことです。お腹の中にいるときから行っているといわれ、生後すぐに出現するのが一般的です。
赤ちゃんによって反応がなかったり、なかなか消えなかったりすることもあります。
代表的な原始反射は以下の通りです。

ルーティング反応(探索反応)赤ちゃんの顔に指や乳首が触れると、探すように首を回します。
消失期間目安:生後4~6ヶ月
吸啜(きゅうてつ)反応指や乳首を咥えると、自動的に舌を動かして吸う運動を繰り返します。
消失期間目安:5~7ヶ月
手掌把握反応赤ちゃんの手のひらに指を置くと、ギュッと握り返します。手だけでなく、足で行う『足底把握反応』もあります。
消失期間目安:生後3~4ヶ月(足底把握反応は、生後9~10ヶ月)

ジェネラルムーブメント

ジェネラルムーブメントとは、仰向けに寝た状態で手足をバタバタと動かす自発運動です。なぜこの動きをするのかは完全には解明されていませんが、お座りやつかまり立ちなどの準備運動と考えられています。生後3ヶ月頃になると消失するのが一般的です。

排泄回数

生後1ヶ月の赤ちゃんは、まだ膀胱や腸が未発達なため、1回の排泄量が少なく、排泄回数が多いのが特徴です。

おしっこの排泄回数は、1日15回〜20回程度。
うんちの排泄回数は、1日に5〜10回程度が目安ですが、中には1〜2回しかしない赤ちゃんもいれば、15回近くする赤ちゃんもいます。

授乳間隔・ミルクの量

生後1ヶ月の赤ちゃんの授乳間隔はまだ安定しておらず、2〜3時間おきが目安です。ミルクは母乳よりも消化に時間がかかるため、ミルクをメインであげている場合は、母乳のみの場合よりも授乳間隔が空くことが多いです。

完全ミルク育児の場合、1回120〜160ml、1日6〜7回程度が目安です。ただし、授乳間隔や量は、赤ちゃんによって異なるので、体重や様子を見ながら調整することが大切です。
生後1ヶ月の赤ちゃんは、1日25g〜30g程度のペースで体重が増えるのが望ましいとされています。体重増加が順調かどうか確認し、気になることがあれば、1ヶ月検診の際に医師に相談すると良いでしょう。

睡眠時間

生後1ヶ月頃はまだ昼夜の区別がつかず、2〜3時間おきに授乳のために起き、また寝るという生活を送ります。これは、膀胱や腸が未発達で、頻繁に授乳や排泄が必要となるためです。睡眠時間には個人差がありますが、1日16〜20時間程度が目安です。

\新生児が寝ない理由・寝かしつけのコツについてはこちら/

入浴

1ヵ月検診で医師から許可が出たら、ベビーバスを卒業してママ・パパと一緒に湯船に入ることができます。赤ちゃんをお風呂に入れるときは、一番風呂で、ぬるめの38〜39℃程度の温度にしましょう。
お風呂が嫌いにならないように、笑顔で楽しい雰囲気を作ることも大切です。

スキンケア

生後1ヶ月の赤ちゃんの肌は大人よりも薄く、肌を守るバリア機能がまだ未熟です。
肌トラブルを防ぐために、しっかりとスキンケアをしてあげましょう。

スキンケアの基本は、肌を清潔に保ち、うるおいを与えることです。
泡立てた赤ちゃん用の洗浄料で優しく洗い、丁寧にすすいだら、ベビーローションやクリームなどで保湿してあげましょう。
お風呂上がりやおむつ替え、口の汚れを拭いたときなど、こまめに保湿するのがポイントです。
また、赤ちゃんは爪が伸びるのが早いので、肌を引っかかないようにこまめに切るようにしましょう。

生後1ヶ月の赤ちゃんの生活リズム

生後1ヶ月の赤ちゃんの生活リズム

生後1ヶ月の赤ちゃんは、まだ昼夜の区別がついておらず、2〜3時間おきに授乳や睡眠を繰り返す生活を送ります。上記の生活リズム例はあくまで目安であり、個人差が大きいことを理解しておきましょう。

生後3〜4ヶ月頃になると、徐々に昼夜の区別がついてきて、夜の睡眠時間が長くなってくることが多いです。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて生活リズムを整えていきましょう。

生後1ヶ月気をつけるべきこと

赤ちゃんの手でハートをつくる

ここでは、生後1ヶ月の赤ちゃんを持つママ・パパが気をつけるべきことを紹介します。

1ヶ月健診を受診する

1ヶ月健診は、赤ちゃんとママの健康状態を確認するものです。

赤ちゃんの健診では発育・栄養・運動機能(原始反応)の状態などを、ママの健診では体の回復状態や心の状態、母乳の出方などを確認します。
育児に関する悩みや気になることを医師に相談ができる場でもあるので、1ヶ月健診は必ず受けましょう。

乳幼児突然死症候群(SIDS)

『乳幼児突然死症候群(SIDS)』は、元気だった赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなる病気のことです。
原因はまだ解明されていませんが、うつぶせで寝かせたときの発症率が高いといわれています。窒息事故も防げるので、赤ちゃんは必ず仰向けで寝かせるようにしましょう。

揺さぶられっ子症候群

揺さぶられっ子症候群とは、赤ちゃんの頭を強く揺さぶることで起こる脳の重大な障害です。特に首が座っていない生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、脳が未発達で頭蓋骨も柔らかい ため、軽い揺すりでも脳に深刻なダメージを与えてしまいます。

最悪の場合、命を危険にさらすことがあるので、赤ちゃんの頭を強く早く揺さぶるような行動は避けることが大切です。

肌荒れ・おむつかぶれ

生後1ヶ月の赤ちゃんは、皮脂の分泌量が多く、大人と比べて肌のバリア機能が未熟です。そのため、脂漏性湿疹やニキビなどの肌トラブルや、おむつかぶれへの注意が必要です。
お風呂上がりやおむつ替えの際は、清潔に洗浄し、しっかり保湿することが大切です。

脂漏性湿疹

皮脂の分泌が活発な生後1ヶ月頃は、頭部や顔、背中などに黄色っぽい脂漏性湿疹が出ることがあります。通常は自然に治癒しますが、ひどい場合は医療機関を受診しましょう。

ニキビ(新生児痤瘡)

ホルモンの影響で、顔や背中などにニキビ(新生児痤瘡)ができることがあります。

おむつかぶれ

おむつの中の蒸れた環境は、おむつかぶれの原因になります。こまめにおむつを交換し、清潔な状態を保ちましょう。

\おむつかぶれの原因・対処法についてはこちら/

産後鬱

産後鬱は、出産後数週間から数ヶ月間に現れるうつ状態を指します。
育児による心身の負担、人間関係のストレス、経済的な問題などが原因として考えられ、人によって症状は異なりますが、不眠や強い不安感、涙もろくなる、気力が湧かないなどの症状が起こります。

日常生活を送ることや赤ちゃんの世話が難しくなることもあり、放置すると長期的に続く場合があります。産後鬱の可能性を感じたら、早めに医師に相談しましょう。

赤ちゃんの成長過程を把握して子育てを楽しもう!

生後1ヶ月の赤ちゃんは、日々驚くような成長を見せてくれます。
ただし、赤ちゃんの成長には個人差があり、周りと比べる必要はありません。

我が子のペースに寄り添い、たくさんの愛情を注ぎながら、一緒に成長していくことが大切です。
我が子の成長を喜び、子育ての過程そのものを楽しんでくださいね。

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