新生児がくしゃみをすると、「風邪を引いたのかな」と心配になるかもしれません。
しかし、赤ちゃんの鼻の粘膜は大人に比べて非常に敏感で、ちょっとした刺激でもくしゃみを起こしてしまうことがあります。

今回は小児科医監修の元、新生児にくしゃみが多い理由、くしゃみの原因と対策について詳しく紹介します。

監修医師 佐世保中央病院 小児科診療部長  山田 克彦
山田 克彦

山田 克彦

大分医科大学(現・大分大学)医学部 卒業 / 現在は佐世保中央病院勤務
専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接

<この記事で分かること>

新生児にくしゃみが多い理由・・・物理的に新生児はくしゃみが多い!

新生児のくしゃみの原因・・・風邪以外にも要因がたくさんある!

病院を受診した方が良い症状・・・症状によっては重症化の可能性も!

目次

新生児のくしゃみは風邪の前兆?

くしゃみは、鼻の粘膜にある知覚神経が刺激されて起こる生理現象です。
鼻の中に入った異物を勢いよく外に出し、病気やウィルスから体を守るための大切な役割を担っています。

くしゃみは、身体の防御反応が正常に機能している証拠でもあるため、赤ちゃんがくしゃみをしていても風邪を引いているとは限りません。

新生児にくしゃみが多い理由

新生児にくしゃみが多いのは、主に「粘膜が敏感」「鼻毛が少ない」といったことが関係しています。
それぞれの理由について見ていきましょう。

粘膜が敏感

新生児にくしゃみが多いのは、鼻の粘膜が敏感なことが理由のひとつです。
大人は感じないようなわずかな異物や環境の変化にも敏感に反応するため、くしゃみが多く出る傾向があります。

とくに、生後2ヶ月頃までは敏感に反応しやすいため、くしゃみも多くなりやすいです。

鼻毛が少ない

鼻毛には、体内に異物が侵入しないようにする役割と、鼻の中の温度や湿度を一定に保って乾燥を防ぐ役割があります。
生まれて間もない赤ちゃんはまだ鼻毛が生えておらず、生えてきても産毛のような薄い毛なので、鼻毛の機能が十分に発揮されません。

そのため、粘膜に刺激が伝わりやすくなり、大人に比べてくしゃみが多い傾向があります。

赤ちゃんのくしゃみの原因と対策

赤ちゃんがくしゃみをするときは、さまざまな原因が考えられます。
ここでは、赤ちゃんのくしゃみの原因と対策を紹介します。

外気の影響(乾燥・室温)

空気の乾燥や気温の変化による寒暖差の刺激によって、くしゃみが出ることがあります。
とくに、寒暖差が大きく空気が乾燥する冬は、くしゃみが多くなりやすい季節です。

外気の影響によってくしゃみが出ている場合は、乾燥を防ぎ、室温を一定に保つ対策をとりましょう。

対策

【室温を一定に保つ】

部屋によって気温差が大きいと、冷気の刺激を受けてくしゃみが出やすくなります。

寝室やリビング、廊下、浴室などに温度計を置き、室温を一定に保ちましょう。

【加湿する】

乾燥を防ぐには、加湿器を使用したり、洗濯物を部屋干ししたりする方法があります。

室内の湿度が40〜50%程度になるように調節しましょう。

ハウスダスト(ほこり・ダニ)

ダニの死骸やフン、ほこりなどのハウスダストも、赤ちゃんがくしゃみをする原因のひとつです。
ハウスダストによるくしゃみを抑えるには、原因となる物質を取り除くことが重要です。

対策

【こまめに掃除をする】

ハウスダストによるくしゃみが出ている場合は、定期的に換気し、掃除機やハンディモップなどを使用してこまめに部屋の掃除をしましょう。

【寝具の手入れをする】

シーツや布団カバー、タオルケットなどの寝具はこまめに洗濯して清潔に保ちましょう。

天日干しや布団乾燥機で寝具の湿気を取り除くと、ダニが繁殖しにくくなります。

乾燥後、布団に掃除機をかけてハウスダストを吸い取るのも効果的です。

【空気清浄機を使用する】

ハウスダストはとても軽いため、人が動くと空中を浮遊します。

掃除や洗濯だけでは取り除きにくいため、空気清浄機を使用すると軽減できます。

アレルギー(犬・猫)

ペットがいる家庭の場合、ペットの抜け毛やフケを吸い込んでくしゃみが出ることがあります。
アレルギー症状としてくしゃみが出ている場合も考えられるため、注意が必要です。

ペットがくしゃみの原因の場合は、こまめな掃除や洗濯、空気清浄機などで抜け毛やフケなどを取り除くとともに、以下のような対策方法も実践してみましょう。

対策

【定期的にブラッシングやシャンプーをする】

定期的にペットのブラッシングやシャンプーをして、抜け毛やフケなどを取り除きましょう。ペットを清潔な状態に保つことで、アレルギーが発症しにくくなります。

【濃厚な接触は避ける】

ペットが原因でくしゃみをしているときは、赤ちゃんを舐めたりスリスリしたりしないようにしつけを行い、濃厚接触は避けましょう。


【赤ちゃんとペットの生活環境を分ける】

赤ちゃんが寝ている部屋にペットを入れないようにするなど、赤ちゃんとペットの生活環境を分けるのも有効な方法のひとつです。

風邪

赤ちゃんがくしゃみをしているのは、風邪が原因の場合もあります。
風邪の症状としてくしゃみが出ているときは、鼻水や咳といった他の症状が伴うことが多いです。

また、百日咳(百日咳菌による感染症)や細気管支炎などの病気の可能性もあるため注意が必要です。

対策

くしゃみ以外の症状があるか確認して、必要であれば病院を受診しましょう。

症状によっては病院への受診が必要な場合も

くしゃみだけであれば基本的に問題はありませんが、他にも症状があるときは病院への受診が必要な場合があります。
ここでは、病院への受診が必要なケースを紹介します。

鼻水・鼻づまり・発熱がある場合

くしゃみとともに鼻水や鼻づまり、発熱がある場合は、風邪を引いている可能性があります。
とくに、38度以上の熱がある場合は重症化する恐れがあるので、早めに受診することをおすすめします。

また、百日咳は、はじめは軽い風邪の症状が出て、徐々に「コンコン」と短く激しい咳が出てくるのが特徴です。
生後6ヶ月以下、とくに3ヶ月以下の赤ちゃんは重症化しやすく、命に関わる感染症なので、咳がある場合も病院を受診しましょう。

ミルクが飲めない・食欲がない場合

風邪や病気が原因で、ミルクが飲めなくなったり、食欲がなくなったりすることがあります。
ミルクを飲んでいなくておしっこが出ていない場合は、脱水を起こしている恐れがあるので注意が必要です。

ぐったりしている・顔色が悪い・嘔吐が続いているといった症状がある場合も、病院を受診しましょう。

息苦しそうな場合

くしゃみとともに鼻が詰まって息苦しそうにしている場合も、風邪や病気が関わっている可能性があります。
赤ちゃんが息苦しそうにしているときは、1歳未満、とくに6ヶ月未満の赤ちゃんに起こりやすい「細気管支炎」という感染症の可能性も考えられます。

細気管支炎はくしゃみや鼻水、発熱、軽い咳などの風邪と似た症状から始まり、徐々に呼吸困難やひどい咳などの症状が現れます。
呼吸が浅くて胸がペコペコと凹む、息をすると「ヒューヒュー」「ゼロゼロ」といった音がするといった症状が現れるのも特徴です。

生後2ヶ月未満の赤ちゃんは短時間無呼吸になる恐れがあるので、早めに病院を受診しましょう。

新生児のくしゃみは症状をよく見て判断しよう!

赤ちゃんは鼻の粘膜が敏感で鼻毛もないため、大人よりもくしゃみが出やすい傾向があります。
赤ちゃんがくしゃみをしても、必ずしも病気というわけではありませんが、他の症状を伴う場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

赤ちゃんの様子を注意深く観察し、適切なケアをしてくださいね。

#新生児くしゃみ  #赤ちゃんくしゃみ  #新生児風邪 

\ SNSでシェアしよう!/

目次