赤ちゃんの成長はあっという間。
生まれて2ヶ月も経てば、あらゆることが変化します。
身長や体重といった身体的な面はもちろん、睡眠時間や授乳時間もしかりです。
子育てに追われる一方、日々子どもの成長に喜びを感じられる時期でもあります。
この記事では生後2ヶ月の赤ちゃんの発達や成長などについて解説します。
山田 克彦
大分医科大学(現・大分大学)医学部 卒業 / 現在は佐世保中央病院勤務
専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接
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【生後2ヶ月の赤ちゃん】身体的成長の特徴
まずは、生後2ヶ月の赤ちゃんについて、身体的な面での特徴を見ていきましょう。
目に見える形で成長が見られます。
体重の目安
体重の変化は以下の通りです。
男子(kg) | 女子(kg) | |
---|---|---|
出生時 | 2.10~3.76 | 2.13~3.67 |
生後1~2ヶ月未満 | 3.53~5.96 | 3.39~5.54 |
生後2~3ヶ月未満 | 4.41~7.18 | 4.19~6.67 |
2ヶ月を超えると、生まれたときに比べて、倍ほどの体重になることがわかります。
抱っこをしたときの重みでも成長を実感できるでしょう。
身長の目安
身長の変化は以下の通りです。
男子(cm) | 女子(cm) | |
---|---|---|
出生時 | 44.0~52.6 | 44.0~52.0 |
生後1~2ヶ月未満 | 50.9~59.6 | 50.0~58.4 |
生後2~3ヶ月未満 | 54.5~63.2 | 53.3~61.7 |
2ヶ月以上経つと、生まれた頃に比べて10cmほど身長が伸びることがわかります。
この頃は赤ちゃんらしい、ぷくっとした体型です。
同じ月齢の子と比べて、うちの子は小さいかも?と思っても、成長には個人差があります。
体重や身長などの⾝体計測値の基準値を年月齢別に示した「⾝体発育曲線」と同じような曲線を描いていれば、気にしすぎることはありません。
⾝体発育曲線は⺟⼦健康⼿帳にも掲載されているので、参考にしましょう。
筋肉が発達して、手足をバタバタさせる
生後2ヶ月に達する前から、手足をバタバタさせる様子は見受けられますが、筋肉の発達に伴い、より一層の力強さが感じられるようになります。
背中や首といった部分の筋肉も発達し、うつ伏せの状態で首をちょっとだけ持ち上げられるようになる赤ちゃんもいます。
色がわかり、広い範囲で追視する
色がわかるようになるのもこの頃の特徴です。
初めに認識するのは赤だといわれています。
原色や白黒といった、コントラストがくっきりしている色が目に入ると喜ぶので、おもちゃなどに取り入れてみましょう。
また、目で動くものを追う「追視」の範囲が広がり、目を動かすだけではなく、首の筋肉を使って顔を左右に動かし、追うようにもなります。
乳児の発声(クーイング)が出はじめる
生後2ヶ月では言葉を発することはできませんが、中には「あー」「うー」といった乳児ならではの発声をしはじめる赤ちゃんがいます。
この発声をクーイングと呼びます。
赤ちゃんが「あー」「うー」と言ったら、応えてあげましょう。
赤ちゃんの意志で笑う
新生児期に、眠っている赤ちゃんが笑っているように見えることがあります。
これは口の運動として口角を横に広げた様子が、たまたま笑っているように見えるだけで、楽しいからというわけではありません。
この笑顔は「生理的微笑」と呼ばれます。
それが生後2ヶ月ほど経つと、親御さんがあやしているときに笑ってくれるようになるのです。
このように外からの刺激により、嬉しい、楽しいという感情のもと、赤ちゃんが自らの意志で笑うことを「社会的微笑」と呼びます。
聴覚が発達する
生まれたときから音によっては、なんらかの反応を示しますが、2ヶ月を過ぎると、よりさまざまな音に反応するようになります。
たとえば、眠っているときに鋭い音がして手足が反応したり、くしゃみが聞こえて目を覚ましたりといったことです。
クーイングを発することのある赤ちゃんは、話しかけると笑顔で「あー」などと言ってくれることがあります。
生後2ヶ月の赤ちゃんの生活リズム
生後2ヶ月の赤ちゃんは、どのような生活リズムで過ごすものなのでしょうか。
この頃の赤ちゃんの睡眠時間や授乳時間などを確認しておきましょう。
睡眠時間はどのくらい?
赤ちゃんは生まれてしばらくの間、細切れで起きながら、昼夜関係なく1日のほとんどを寝て過ごします。
しかし、生後2ヶ月くらいになると、1日の睡眠時間は14〜16時間程度になります。
体力がつき、1回あたりの睡眠時間が長くなるのも特徴。
昼と夜の区別がつき、昼は起きていて、夜に長時間眠るようになる赤ちゃんもいます。
授乳時間や授乳間隔は?
生後2ヶ月の頃には口周りの筋肉が発達し、母乳やミルクを上手に飲めるようになっています。
そのため、飲む量が増える割に、授乳時間は短縮されます。
母乳なら1回あたり左右それぞれ10分以上、30分もかからずに済むでしょう。
欲しがる間隔があくため授乳間隔もあき、1〜3時間おき、1日8回程度といったところで落ち着くはずです。
ミルクの場合は、パッケージの表記を参考に与えましょう。
授乳間隔が整う頃ではありますが、あくまでも個人差があります。
赤ちゃんの様子を見ながら、間隔や量を調整するようにしましょう。
【生後2ヶ月】1日のスケジュール
生後2ヶ月の赤ちゃんを育てるママは1日をどのように過ごすのでしょうか。
1日のスケジュール例をみてみましょう。
■朝
- 起床
- 朝食
- 赤ちゃんが寝ている間に、洗濯や掃除などの家事
- 授乳
- 赤ちゃんの着替え、散歩
- 授乳
■昼
- 赤ちゃんが寝ている間に昼食
- 授乳
- 赤ちゃんと遊ぶ
- 授乳
- 買い物を兼ねて赤ちゃんと散歩
■夕方
- 授乳
- 夕食の準備
- 赤ちゃんとお風呂
■夜
- 授乳
- 夕食
- 寝かしつけ
- 就寝
★就寝中に授乳あり
★おむつの交換が1日4~6回あり
親御さんは赤ちゃんの生活リズムに合わせて、お世話をしながら1日を過ごすことになります。
毎日同じスケジュールで過ごせればよいですが、赤ちゃんの体調やご機嫌によってスケジュールを変えざるを得ないこともあります。
日によって、どうしても済ませなければならない用事ができることもあるでしょう。
常に赤ちゃんの様子を気にしながら、さまざまなタスクをこなさなければならないので、疲れないわけがありません。
赤ちゃんが寝ている時間はきちんと休むようにする、家事を完璧にしようとせず手を抜けるところは抜く、家族に協力してもらうなど、頑張り過ぎずに育児をするようにしましょう。
ちなみに、生後2ヶ月(57日以上)を経過していれば、保育園の利用が可能です。
保育園では1日のスケジュールが決まっているため、生活リズムが整いやすくなり、育児について保育士に相談することもできます。
一方、赤ちゃんと一緒に過ごす時間には、かけがえのない価値があるのも事実です。
保育園の利用を考える際は、その点も踏まえて検討しましょう。
生後2ヶ月の赤ちゃんの遊び方
生後2ヶ月になると、筋肉や視覚、聴覚の機能が発達し、遊びの幅が広がります。
この頃の赤ちゃんにおすすめの遊び方を紹介します。
うつ伏せ遊び
赤ちゃんの腕や足、肩、背中の筋力アップにつながり、寝返りやハイハイを促す「うつ伏せ遊び」は、生後2ヶ月くらいから始めるのがおすすめです。
赤ちゃんは自分で姿勢を変えることができないので、親御さんが赤ちゃんをうつ伏せにします。
うつ伏せにする際は、清潔な床やマットの上で行いましょう。
やわらかい布団やソファの上では赤ちゃんが窒息してしまう可能性があります。
初めは仰向けになった親御さんのおなかの上や、座った膝の上で、うつ伏せにしてあげるとよいでしょう。
うつ伏せ遊びをするのは赤ちゃんの機嫌がよいときを選びます。
おむつを替えた後などに、1日1〜2回うつ伏せにしてあげて遊びましょう。
うつ伏せにしている間は、目を見て話しかけたり、歌ったりします。
まずは3分ほどの短時間から始めて、慣れてきたら時間を延ばします。
うつ伏せの姿勢に慣れてくると、休んだり、顔を持ち上げようとしたりする様子が見られるでしょう。
手が届きそうな場所にお気に入りのおもちゃなどを置くと、それを取ろうと動くようにもなります。
うつ伏せになることで視界が変わったり、床やマットなどの素材に触れたりすることも、赤ちゃんにとってよい刺激になります。
また、後頭部が平らになるのを予防できるのもメリットです。
絵本の読み聞かせ
笑顔を見せ、色を判別し、聴覚も発達する生後2ヶ月頃は、絵本の読み聞かせを楽しめるようになる時期です。
絵本は、くっきりとした色合いで、ピューピュー、トントンなどのオノマトペがたくさん使われているものを選ぶのがポイント。
赤ちゃんの興味を引きやすいでしょう。
散歩やお出かけ
前述したように、生後2ヶ月は昼と夜の区別ができるようになる頃です。
外気浴によって外の空気に慣れている時期でもあるので、昼に散歩やお出かけをする習慣をつけましょう。
さまざまな物や人、音との出会いは赤ちゃんの「楽しい」という感情を刺激し、成長につながります。
また、昼に日光を浴びると、昼は起きていて、夜は眠るという1日のリズムを身につけやすくなるメリットもあります。
生後2ヶ月時のコミュニケーションの取り方
生後2ヶ月の赤ちゃんにとって、親御さんとのコミュニケーションは成長の糧となります。
どのようなコミュニケーションを取るとよいのか見ていきましょう。
顔が見えるようにして、おしゃべり
赤ちゃんとおしゃべりするときに、ついスマホを見ながらになっていませんか?
赤ちゃんは、話しかけてくれる親御さんに自分が反応することで、笑顔になってくれることが嬉しいのです。
それで、気持ちをもっと伝えようとすることが言葉の発達につながります。
そのため、赤ちゃんに話しかけるときは、顔が見えるようにしましょう。
「いないいないばあ」を取り入れて、「ばあ!」のときに目が合ったら、おしゃべりするようにすると、赤ちゃんはコミュニケーションがより楽しくなるでしょう。
スキンシップ
親子の絆を深めるうえで、スキンシップは欠かせません。
自分への触れ方で、赤ちゃんは親御さんかどうかを判別できるといわれています。
そのため、遊びの中でスキンシップを積極的に取り入れましょう。
ちょっとした運動になるような方法をとると、運動能力の向上にもつながります。
例えば以下のようなものです。
【足の運動でスキンシップ】
赤ちゃんの足の後ろを支えるようにして持ち、上半身へ引きつけるように曲げて、戻すという運動。
あくまでも軽い運動として、優しく曲げたり伸ばしたりしましょう。
おむつを替えた後の流れで行うのがおすすめです。
【手の運動でスキンシップ】
赤ちゃんの手首や腕を持って、ばんざいをするように上に上げたり、ぶらぶらさせたりします。
力強く動かすようなことはせず、赤ちゃんが喜ぶくらいの力とスピードで行いましょう。
どちらのスキンシップも、歌ったり曲をかけたりしながらリズムに乗って行うと、楽しさも増すうえに、リズム感の習得にも一役買うでしょう。
生後2ヶ月の赤ちゃんの注意すべき点
生後2ヶ月の赤ちゃんの健康と安全を守るために、注意すべき点をいくつか紹介します。
赤ちゃんがすくすくと育つように、おさえておきましょう。
予防接種を忘れない
生後2ヶ月のときに必ず受けておきたいのが予防接種です。
外出するようになると、感染症にかかるリスクと隣り合わせになります。
予防接種を受け忘れて、赤ちゃんが病気にかかり、重症化してしまったら後悔しか残りません。
忘れないように「生後2ヶ月の誕生日が来たら受ける」と決めておいて、事前に予防接種を受けられる小児科を探し、相談、予約しておくことをおすすめします。
自治体からワクチンを無料で受けられる接種券をもらえますが、生後2ヶ月が近づいても通知がない場合は確認しましょう。
なお、生後2ヶ月で受けられるワクチンは以下の4つです。
- B型肝炎
- ロタウイルス
- 小児用肺炎球菌
- 五種混合
同時に受けられるので、一気に済ませるとよいでしょう。
不慮の事故を避ける
「まだそんなに動けないから大丈夫」という思い込みが、不慮の事故を引き起こす可能性があります。
生後2ヶ月の赤ちゃんは筋力がつき、手足をバタバタさせて、背中でズリズリと動くことができます。
ちょっとの間だけと、大人用のベッドに寝かせたり、ベビーベッドの柵を下げたままにしたりすると、赤ちゃんが動き、落ちてしまいかねません。
また、大人用のふかふかした敷布団に顔が埋まったり、掛け布団が顔にかかってしまったりして、窒息する事故も起こりがちです。
必ず赤ちゃん専用の布団を使用し、顔の周りに窒息の原因になりそうなものをおかないようにしましょう。
枕元に置きたくなるぬいぐるみもNGです。
スキンケアをしっかりと
それまで天然の保湿成分に守られて、しっとりすべすべだった赤ちゃんの肌も、生後2ヶ月くらいになると乾燥しやすくなります。
元々赤ちゃんの表皮は、個人差があるとはいえ大人の半分ほどしか厚みがなく、乾燥によって受けるダメージは強くなります。
赤ちゃんの肌にかさつきを感じたら、保湿ケアを行うようにしましょう。
また、汗もかきやすいので、あせもやおむつかぶれを防ぐために清潔を保つことも重要です。
スキンケアをしっかり行っていても、肌に赤みや湿疹が出ることもあるでしょう。
その場合は、小児科や皮膚科で診てもらいましょう。
ウンチのことを気にしすぎない
注意しがちなことでも、実は気にしすぎなくてもよいことがあります。
ウンチは健康のバロメーターといわれますが、赤ちゃんのウンチは多種多様で、気になる点があっても正常の範疇のことが多いです。
ウンチの量や色、回数などを気にしがちですが、気にすべきは「ウンチが硬い」「体重が増えない」といったケースです。
それ以外の場合は、気にしすぎなくてよいでしょう。
産後2ヶ月のママのよくある悩みと対処法
産後2ヶ月のママは子育て以外に、自身の体に起こるトラブルにも悩まされます。
よくある悩みと対処法も紹介しておきましょう。
乳房が張ってしまう、乳腺炎を引き起こす
生後2ヶ月になると、授乳間隔があき、回数も減るのは前述の通りです。
すると、特に母乳がよく出るママは乳房が張ってしまい、ひどくなると乳腺が詰まって乳腺炎が起こります。
乳腺炎にかかると、乳房が赤く腫れて硬くなり、押すと痛みが伴います。
さらに、乳房にできた赤ちゃんの噛み傷から細菌が入り込んで感染し、高熱と激しい痛みを引き起こすケースも。
このような場合は早々に病院を受診し、医師から抗生物質や解熱鎮痛剤などによる薬物治療を受けましょう。
乳腺炎の予防には、乳汁を溜めないことが重要です。
赤ちゃんが飲みきれない場合は、搾乳をこまめに行うようにしましょう。
また、血流が悪いと乳腺炎を引き起こしやすくなるので、締めつけのきつい下着を避け、できる限り睡眠をとるようにすることも大切です。
細菌感染を防ぐため、授乳の前後に手をしっかり洗ったり、乳首を拭いて清潔を保つようにすることも予防につながります。
尿もれしてしまう
分娩の際に赤ちゃんが出てきやすいようにするため、産後は子宮や膀胱といった臓器を支える骨盤底筋群が緩んだ状態になります。
さらに尿道周辺の筋肉が出産の際に押されることなどもあり、尿もれしやすくなるのです。
これらは産後2ヶ月ほど経つと自然に元の状態に戻っていきますが、必要以上に動いたり重いものを持ったりすると回復が遅れます。
そのため、産後はなるべく動きすぎず、横になって休むことを意識しましょう。
産後、頻繁に尿もれをする場合は、骨盤底筋トレーニングをすることで、改善する可能性があります。
会陰の痛みがおさまったら試してみましょう。
手順は以下の通りです。
- 仰向けに寝て、足を肩幅に開きます
- 両膝を軽く曲げて立てます
- 1分間に12秒ほど骨盤底筋を締めます。
陰部のみを引き上げるイメージです。残りの時間は脱力します。 - 3を10回繰り返します。
初めは骨盤底筋を締めたままキープするのは難しいので、まずは5秒くらいから始めて、時間を伸ばしていけるようにしましょう。
生後2ヶ月の赤ちゃんの成長を楽しもう
生後2ヶ月の赤ちゃんは生まれたばかりの頃と比べて体が大きくなるなど、見た目の変化もありますが、声を発したり笑顔を見せたりといった成長も見られます。
筋肉が発達し、親御さんが思うよりも動くので、ケガをさせないように注意しましょう。
一緒に外出ができるようになる時期でもあるので、日々、赤ちゃんの成長を感じることができます。
産後の悩みがあるママも多いですが、この時期ならではの赤ちゃんの成長を楽しみましょう。
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