1歳半は、外見も内面も大きく発達がみられる時期です。
少し前までは赤ちゃんだったのに、日々成長がみられるので、周りの大人は驚きの連続かもしれません。

この記事では、1歳半頃の言葉の発達やできること、お世話をするにあたってのポイントなどを解説します。

1歳半の子どもの成長について知りたい人は参考にどうぞ。

監修医師 東京シティクリニック大山 白井 沙良子
白井 沙良子

白井 沙良子

慶應義塾大学医学部 卒業 / 小児科医として、都内クリニックにて勤務

株式会社Kids Publicにて、小児科・産婦人科へのオンライン医療相談を運営 / 毎日新聞「医療プレミア」にて毎月連載

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目次

赤ちゃんから幼児へ!1歳半の特徴は?

1歳半は赤ちゃんから幼児へ成長する時期です。

まずは1歳半の特徴を見てみましょう。

1歳半(1歳6ヶ月)の身長と体重

1歳半の子どもの身長と体重の目安は以下の通りです。

※数字は1年6~7ヶ月未満

男の子女の子
身長(cm)75.6~85.9cm73.9~84.2cm
体重(kg)8.7~12.5kg8.1~11.8kg
参考:厚生労働省/平成22年乳幼児身体発育調査・結果の概要

この時期は、体重の増え幅が落ち着いていきます。

歯がかなり生えそろい、離乳食を卒業する

1歳半は歯もだいぶ生えそろって、奥歯が生えてくる子どももいる時期です。

離乳食を卒業して、幼児食をはじめるタイミングでもあります。
子どもが食べることに興味を持ち、「美味しい!」と食事が楽しみになることを目指しましょう。

幼児食として出すのは、噛む力が十分でない子どものために、大人が食べるものを柔らかくしたものです。
皮や弾力のあるものは避けましょう。

フォークやスプーンの使い方がわかったり、使いたがったりする頃なので、すくったり刺したりしやすいメニューにすることをおすすめします。

1歳半過ぎの子どもが食べる量は大人の半分くらいです。
とはいえ、食べムラのある時期で、量が少ない日があってもおかしくありません。

自我も出てきて、なかなか大人が食べてほしいと思う食べ物を食べてくれないときもあるでしょう。

数週間単位でみたときに、なんとなく食べ物のレパートリーにバリエーションが複数あれば、正常な範囲であることがほとんどです。

なお、量を食べないから、代わりに子どもが大好きな甘いものでカバーしようとするのはNGです。
栄養面でも代わりにはならず、この時期は虫歯になりやすいので、その原因をつくることになってしまいます。

カテゴリ別の食事量の目安は以下となります。

【1歳半の食事量目安(1回あたり)】
  • 主食(約80g)ごはん、パン、スパゲッティ、うどんなど
  • 主菜(約20g)肉・魚類、豆類、卵など
  • 副菜(約50g)野菜、海藻、きのこなど
  • 補食 果物(1日に約50g)、乳製品など

子どもの健やかな成長のためにも、家族で食卓を囲んで、楽しい食事をしましょう。

自立心が芽生える

1歳半頃になると、自己主張が強くなります。

自分の思い通りにいかないと、怒ったり拒否したりします。
大人からすると、理由が理解できず戸惑うこともあると思いますが、突き放さずに、受け止めることが大切です。

自己主張は自立心につながる、精神的な成長には欠かせないものです。
ひとりではまだできないことを自分でやろうとしているときは、時間がかかってもやらせてあげるようにしましょう

うまくいかなかったときに、悔しい気持ちを親御さんが受け止めてあげるようにすれば、またチャレンジするはずです。

早い場合、自分でなんでもやりたがり、指示されるのを嫌がる「イヤイヤ期」がはじまります。

イヤイヤ期に入ると、手伝われるのを嫌がるので、失敗しても見守るように心がけ、サポートを求められたら手伝うようにしましょう。

また、一度できたからといって、同じことをまたできるとは限りません。
「前はできたでしょ」と言わずに、チャレンジしようとしている姿勢を認めてあげましょう。

1歳半は発達をチェックする重要な年齢

1歳半は発達をチェックする重要な年齢です。

乳幼児健康診査(乳幼児健診)というものが乳幼児期に数回ありますが、中でも、さまざまな発達がみられる時期の「1歳6カ月児健康診査」は重要なものとされています。

健診の主な内容は

  • 身体測定
  • 内科診察
  • 歯科診察
  • 育児相談

です。

ほかにも、歩くことが上手になる時期なので、ひとり歩きの様子をみたり、単語が3〜5個など複数でているか、などをみたりします。

自治体で実施している健診は基本的に無料です。
お子さまの成長で気になることがある人は専門家に相談できるチャンスです。

また、育児について参考になる情報を得られる機会でもあるので、発達状況について特に気になることがない場合も必ず受けましょう。

1歳半(1歳6ヶ月)の言葉の発達

1歳半になると、わかりやすい言葉の発達がみられます。

どのような変化があるのか見てみましょう

いくつかの単語を覚える

それまでは喃語(なんご)という、赤ちゃん特有の「うーうー」「あーあー」といった意味のない言葉を発します。

それが1歳半くらいになると、ママ、パパ、マンマ、ワンワンなど、意味のある言葉を数個話せるようになるのです。

さらに2歳近くになると、「ワンワン、いた」「マンマ、ほしい」というように、単語を2個組み合わせて話す子どももいます。
とはいえ、言葉の発達のスピードは一人ひとり違います。

1歳半の時点で単語が出ていないからといって、必ずしも発達に大きな異常があるとは断定できません。
その後の数ヶ月の発達や、言葉以外の発達なども総合的にみたうえで、今後どのようにフォローしていくのかを決めていきます。

言葉を理解して、指示に従う

この頃の子どもは、言葉を話すだけではなく、理解もできるようになります。
「〇〇持ってきて」というと、きちんと持ってくるように、言葉を理解して、指示に従います。

大人が日常で話していることを理解できるので、「寝ようか」と声をかけると、自分から寝室に行くようなこともあるでしょう。

1歳半で言葉が出ないときはどうする?

個人差があるとはいえ、言葉が出ないと心配になるものです。
保育園に通っていて、他の子がたくさん言葉を話していると不安になるでしょう。

まずは「無理やり言葉を教える」というよりは「言葉をたくさんかけてあげる」という意識で大丈夫です。
笑顔でごはんを食べているなら「おいしいね~」、一生懸命歩いてたら「がんばれ!」と、声をかけるのです。

また、一緒に歌を歌ったり、リズムにのせて言葉を言ったりすると、おしゃべりをするきっかけになることもあります。

手を動かしながら歌う「手遊び」を取り入れると、遊びの要素が増して、子どもがより言葉に興味を持ってくれるかもしれません。

言葉を発さなくても、「どっちがいい?」と聞くと指をさすような、何らかの反応があれば、心配しすぎることはありません。

聴覚に問題があるといった治療が必要な要因で話さないわけではないからです。
もしも、呼びかけに対する反応がない、鈍いなら、小児科にかかるなどの対応をしましょう。

言葉が出ないと、発達障害の可能性を考える人もいるかもしれませんが、言葉の発達だけでは判断できないので、専門家の意見を仰ぎましょう。

1歳半の子どもができること

単語の組み合わせで話せるようになる以外にも、1歳半になるとできるようになることが増えます。

ひとりで歩く

1歳半になると、運動能力がアップし、ひとりで自由自在に歩けるようになる子どもが多いです。
小走りができるようになる子どももいます。

親御さんが手を引いてあげると長い距離も歩けるので、散歩に連れ出しましょう。
散歩は子どもにとって重要な情報収集の機会になります。

道端の石に気を取られてしゃがみこんでしまったり、蝶々を追いかけて横道にそれたりと、なかなか前に進まないかもしれません。

しかし、子どものペースにあわせてゆっくり楽しみましょう。

この時期の子どもは、急に止まったり曲がったりはできません。
転ぶこともあるのでサポート必須です。

車や自転車、人ごみの中を歩くときは特に危険なので、手をつないで歩くことを心がけましょう。

指を差して表現

1歳半の子どもによく見られるのが興味のあるものを指さす様子です。
これは、指さしたものを相手とわかちあいたいという気持ちを表現しています。

子どもが花を指さしたら、「お花だね、たんぽぽだよ。かわいいね」などと、指さしたものを親が代弁すれば、子どもは言葉を覚えていくこともできます。

さらに成長すると、「〇〇はどれかな?」と聞くと、〇〇をきちんと指さすようにもなるでしょう。

いたずら

親御さんとしては困ってしまいますが、1歳を過ぎると、机にのっているものを落としたり、ティッシュをたくさん引っ張り出したりといったいたずらをします。

ただし、いたずらとは言っても、子どもは大人を困らせようとしてしているわけではありません。
手の動きを習得しようと本能的にしているのです。

ティッシュをつまんで引っ張り出す、ものをつかんで落とすといった動作は、手先がある程度器用に動かないとできません。

それがうまくできるように、練習しているわけです。
こういったいたずらをしたら、「子どものできることが増えた」と考えましょう。

とはいえ、机から落としたものが割れものの場合、子どもが怪我をするリスクがあるので、そういったものは机の上に置かないようにするなど、注意が必要です。

1歳半におすすめの遊び方

子どもは遊びから心身の成長を促されることがあるため、積極的に取り入れましょう。

1歳半の子どもにおすすめの遊び方を紹介します。

見立て遊び・ごっこ遊び

人形やぬいぐるみを家族の誰かに見立てたり、積み木をおにぎりや家に見立てたりして遊ぶことを「見立て遊び」といいます。

頭の中で想像して遊ぶので、想像力が身につきます。
見立て遊びは1歳頃からはじめる子どもが多いです。

おもちゃをほかの何かに見立てる様子があれば、想像力が向上している証拠とみましょう。
そして、見立て遊びの発展版が「ごっこ遊び」です。

2歳近くになると、何かをほかのものに見立てるのではなく、自分自身が何かになりきって遊びはじめます。

代表的なごっこ遊びが「おままごと」。
自分自身が家族の誰かになりきって、日常生活の一部を再現して遊びます。

ほかにも、お店屋さんごっこや宅配便ごっこなど、いろんなシチュエーションのごっこ遊びをすることで、子どもたちはさまざまな言葉を覚えていくのです。

お絵かき

1歳半になると、握力が強くなるので、クレヨンでくっきりとした線を描けるようになります。

何かを描いているという感じではないですが、大胆にクレヨンを動かしながら線を描く姿がみられるでしょう。

さらに手先が器用になっていくと、丸を描けるようになっていきます。

絵本

言葉を覚えるためにうってつけの遊び道具といえば絵本。
絵本にもさまざまな題材がありますが、この年代におすすめなのは、日常や身近にあるものを題材にした作品です。

ご飯を食べたり歯みがきをしたりといった内容なら、子どもも興味を持ちやすく、内容によっては、嫌がっていたことを自分から進んですることもあるでしょう。

動物や電車など、子どもたちが普段から興味を持っているものが登場するなら、より興味を持つはずです。

ストーリーも理解できるようになる頃なので、わかりやすい、かつ、言葉のリズムが楽しいものを選んで読み聞かせれば、想像力や理解力、言語力の底上げにつながるでしょう。

積み木は1歳半におすすめのおもちゃ

積み木は1歳半の子どもにとって絶好のおもちゃです。
はじめは、かじろうとしたり、投げてみたりと大変かもしれませんが、手先が器用になると、積み重ねる作業ができるようになります。

最初のうちは四角い積み木だけ用意して、積みやすいようにしましょう。
大人が積み方を見本で見せると、真似してチャレンジするはずです。

遊んでいくうちに、手先の細やかな動かし方も上達します。

前述の通り、積み木はほかのものに見立てて遊ぶなど使い勝手がよいので、おもちゃのラインナップにぜひ入れてください。
ブロックもおすすめです。

1歳半の子どものお世話

1歳半はさまざまな面で子どもが発達・成長する時期です。
それだけに、どのようなお世話をするのがよいのか迷う人もいるでしょう。

ここでは、おすすめのお世話について解説します。

目標は生活習慣を定着させること

この時期の子どもは、指示を理解して実行に移すことが可能です。

「とってきて」とお願いすると、頼まれたものを持ってきてくれるなど、お手伝いができるようになるため、いろいろなことを教えるチャンスです。

さらに、手先が器用になるので、自分ひとりで手洗いや歯みがきにチャレンジしようとします。
そのやる気を損ねることのないようフォローすることが大事です。

目標は、生活習慣として欠かせないことを子どもが自分でできるようになることです。
できるようになったら、褒めるのを忘れないようにしましょう。

お散歩でたくさん歩かせる

ひとりでも歩けるようになるこの時期は、お散歩に連れ出し、たくさん歩かせるようにしましょう。
歩くことは体力アップにもつながります。

散歩の道すがら五感を刺激され、子どもは何か新しい発見を得るはずです。

真似を通して動作や言葉を教える

子どもたちは大人のしぐさや発言の真似をして、さまざまなことを覚えていきます。

頭を下げて「ありがとう」、手を横に振ると「バイバイ」、だけど「いってらっしゃい」と言うこともある……と観察して自分も真似をします。

着替えているときに、子どもが真似をして靴下を脱ごうとしていたら、見本をみせましょう。
そうすれば、いずれ上手にできるようになるはずです。

子どもの「真似したい気持ち」を活かして、生活に役立つことを教えていくとよいでしょう。

1歳半は子どもの成長を確認する節目の時期

1歳半は、重要とされる「1歳6カ月児健康診査」を受ける時期です。

この健診は、身体や言葉が発達しているか、病気など、何かしらの要因で遅れが生じていないかを確認するよい機会となります。

「同年代の子たちと比べて、うちの子は言葉が遅いみたい」と、お子さまの成長に日々頭を悩ませる親御さんもいるでしょう。

しかし、専門家に相談すると、気にするほどの遅れではないと言われることは多々あります。

悩みがある人も、特にはない人も、子どもの成長について第三者の意見が聞けるよい機会なので、必ず受けるようにしましょう。

1歳半の子どもは目まぐるしい成長を見せてくれます。
周りの大人はそれをサポートすること、よい見本となることを心がけましょう。

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