出産後なかなか体重が戻らないことに悩んでいるママもいれば、逆に痩せすぎてしまい不安になっている方もいるでしょう。
産後の体は、妊娠前とは大きく変化し、体重の増減も人それぞれです。 

この記事では助産師監修の元、産後の体重変動の原因や、産後の体重が減るペース、理想的な産後ダイエット方法を紹介します。

<この記事で分かること>

産後に体重が落ちやすい理由・・・実は産後は痩せやすい!(ただし病気が原因の場合も)

産後体重が減るペース・・・産後にはダイエットに適した時期と適さない時期がある!

産後ダイエットのやり方・・・産後ダイエットにはコツがある!

監修助産師 産後ケアホテル マームガーデンリゾート葉山アドバイザー 浅井 貴子

フリー助産師:浅井貴子

産後ケアホテル マームガーデンリゾート葉山アドバイザー
代替補完療法をテーマにしたマタニティ~乳幼児の子育て指南
には定評がある
産前産後のコンディショニングトレーナーも務める

目次

【痩せすぎは危険信号!】産後に体重が落ちやすい理由

意外かもしれませんが、実は産後は体重が落ちやすい時期です。ただし、病気や体調不良により体重が落ちている場合もあるので、痩せすぎている方は注意が必要です。

まずは、産後に体重が落ちやすい3つの理由についてチェックしてみましょう。

母乳育児によるエネルギー消費

赤ちゃんに母乳をあげることは、思っている以上にたくさんのエネルギーを消費します。

たとえば、赤ちゃんは1日に平均して約800mlの母乳を飲みます。母乳100mlあたり約60kcalのエネルギーを消費するので、計算すると1日で約480kcalも消費することになります。
これは、体重55kgの人が1時間ジョギングした時に消費するカロリーに匹敵します。

それに加えて、赤ちゃんのお世話や家事など、育児中はさまざまな活動でエネルギーを使うため、家の中で過ごすだけでも想像以上に多くのカロリーを消費しているといえるでしょう。
母乳育児による体重減少は、個人差が大きいものの、人によっては痩せすぎてしまう場合もあります。

水分が多い落としやすい脂肪

妊娠中につく脂肪は、実は通常の脂肪とは少し性質が異なります。
この脂肪は『流動性脂肪』と呼ばれるもので、水分が多く柔らかいのが特徴です。流動性脂肪は通常の脂肪よりも燃焼しやすいため、比較的落としやすいといわれています。

ただし、時間が経つと落としにくい通常の脂肪へと変わり、放っておくとセルライトになってしまうので注意が必要です。

甲状腺機能の異常・ストレス

バセドウ病や橋本病といった甲状腺の病気は、代謝に大きく影響を与えます。
これらの病気にかかると、疲れやすくなったり、食欲がなくなったりして、体重が減ってしまうことがあります。
また、産後は慣れない育児や生活環境の変化、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足などからストレスが溜まりやすい時期です。

慢性的なストレスは、食欲不振や睡眠不足を引き起こし、体重減少に繋がることがあります。
場合によっては、産後うつを発症し、さらに体重が減ってしまうことも。
体調に異変があるときや体重減少が著しいときは、早めに医師に相談しましょう。

産後体重が減るペース

産後は体の回復とともに自然に体重が減少していきます。ただし、産後には痩せやすい時期や、逆にダイエットを避けた方がいい時期があります。
体調に悪影響を与えないように、産後の体重が減るペースについて確認しておきましょう。

出産後

妊娠中に体重が増加するのは自然なことですが、理想的な体重増加量は体格によって異なります。妊娠中の体重増加の目安は、BMI(体格指数)によって以下のように区分されています。

妊娠前の体格BMI体重増加の目安
やせ型18.5未満12~15kg
ふつう18.5以上25.0未満10~13kg
肥満(1度)25.0以上 30.0未満7~10kg
肥満(2度以上)30.0以上個別対応(上限5kgまでが目安)
※BMIの計算方法【BMI = 体重kg ÷ (身長m)2】

妊娠により増える体重は赤ちゃんの体重や脂肪だけでなく、さまざまなものの重さが含まれています。

個人差はありますが、妊娠中に増加する体重の内訳は以下の通りです。

体重増加の内訳
  • 赤ちゃんの体重:25~30%
  • 胎盤:5%
  • 子宮:7~8%
  • 羊水:6~7%
  • 血液:12~15%
  • 水分(血液外):9~12%
  • 体脂肪:25~40%
  • 乳房:3~4%

出産すると、赤ちゃん・羊水・胎盤などが体外に出るため、約4〜5kg体重が減るのが一般的です。
しかし、妊娠中は血液量が1.5倍に増えるだけでなく、体内に水分を溜め込みやすいホルモン(プロゲステロン)の影響でむくみやすくなります。
また、出産後のストレスや生活習慣の変化もむくみの原因となるため、理論上の数字よりも体重が減りにくいことがあります。

一方で、妊娠中にマタニティースイミングやマタニティーヨガなどの運動をしていた人は、筋肉量を維持できているため、産後も代謝が良く、体重が戻りやすい傾向があります。

産後6〜8週(産褥期)

完全母乳で1日に800mlの母乳をあげると、約480kcalのエネルギーを消費します。そのため、計算上は1ヶ月に約2kgの体重減少が見込めます。
ただし、産後6〜8週間の産褥期は、妊娠中に変化した体が元に戻ろうとする大切な時期です。

体には出産のダメージが残っており、子宮収縮の痛みや悪露(おろ)、腰痛、マタニティブルーなどさまざまな症状が起こりやすいため、無理をせずに体を休ませることが大切です。

早く体重を落としたいと思うかもしれませんが、体への負担が大きいので産褥期のダイエットは控えましょう。

\産褥期の過ごし方についてはこちら/

産後2〜6ヶ月

産後2〜6ヶ月頃は体調が安定してきて、産後ダイエットを始めるのに良い時期と言われています。しかし、この時期は体重がなかなか減らない、むしろ増えてしまうという方が多いです。

なぜなら、産後2〜6ヶ月は妊娠中に大きくなった子宮が元に戻ってくる時期でもあるため、胃への圧迫感がなくなり、食欲が増す傾向にあるからです。また、産後のホルモンバランスの影響で、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減少しており、かつ母乳でエネルギーを大量に消費しているため、この時期はついつい食べ過ぎてしまうケースが多いのです。

授乳中は、妊娠前の1日に必要なカロリーにプラス350kcalの摂取が推奨されています。
これは、母乳を作るために必要なエネルギーと、妊娠中に増えた体重を戻すためのエネルギー量を考慮したものです。
食事制限や無理なダイエットは、母乳の出を悪くしたり、体調を崩したりする原因にもなるので、バランスの取れた食事を心がけましょう。

理想的な産後ダイエット方法

健康的に妊娠前の体型に戻るには、いくつかのポイントがあります。ここでは、理想的な産後ダイエット方法を4つ紹介します。

なるべく母乳育児をする

母乳を作るためには、多くのエネルギーが必要になります。そのため、母乳をあげている間は、自然とカロリーを消費し、体重が減りやすくなります。

ただし、赤ちゃんの授乳量やママの体質によって消費エネルギーは異なるため、母乳育児でも体重が落ちにくい場合はあります。母乳をあげているからといって、何でもたくさん食べて良いわけではありません。

摂取カロリーが消費カロリーを上回ると体重は減らないので、カロリー過多にならないように注意しましょう。

水分をしっかり摂る

赤ちゃんが飲む母乳の約90%は水分で出来ています。
つまり、赤ちゃんに母乳をあげるたびに、ママの体からたくさんの水分が失われているということです。

そのため、授乳中のママは想像以上に水分不足になりがちです。水分不足になると、体は「水分が足りない」と勘違いし、体内に水分を溜め込もうとします。

これがむくみの原因のひとつです。
水分補給をしっかりと行うことで、むくみを解消し、ダイエット効果を高めることができます。
他にも、むくみ解消のためには、

  • カリウムの多い飲食物を取り入れる
  • 塩分を控える
  • 軽い運動やストレッチを行う(体調が良好な場合)

といった方法が効果的です。

タンパク質・鉄分をしっかり摂る

産後体重を減らすには、1日3食、栄養バランスの良い食事をとることが大切です。とくに意識して摂りたいのが、タンパク質と鉄分です。

<タンパク質>

筋肉や血液など体を作るのに欠かせないタンパク質は、産後の体の回復のために意識して摂取したい栄養素のひとつです。
タンパク質が不足すると筋肉量が低下して脂肪燃焼しにくくなるため、しっかりと摂るようにしましょう。

また、タンパク質は他の栄養素に比べて満腹感が長く持続するため、間食やドカ食いを抑える効果も期待できます。

<鉄分>

鉄分は、体内の酸素を運ぶ役割を担っています。酸素が十分に供給されることで、エネルギー代謝が活発になり、脂肪燃焼を促します。
とくに産後は、出血や授乳によって鉄分が不足しやすく、貧血になりやすい状態です。貧血になると、だるさやめまい・立ちくらみ、動悸、息切れ、といった症状を起こし、育児に支障を及ぼすこともあります。

産後は意識的に鉄分を摂取し、体調管理を心がけましょう。

骨盤の歪みや開きを整える

妊娠中は赤ちゃんが産道を通りやすくするため、骨盤を広げる働きのあるホルモン「リラキシン」が分泌されます。
リラキシンは産後6ヶ月程度で妊娠前の分泌量と同じくらいになり、次第に骨盤も閉じていきます。しかし、分泌している間は骨盤が緩んでいるため、骨盤が歪みやすい状態です。

この状態を放っておくと、骨盤の歪みや開きが生じ、ぽっこりお腹や腰痛の原因になるばかりでなく、代謝低下を招き痩せにくくなる可能性もあります。

産後体調が安定する2〜6ヶ月頃から骨盤底筋や、お尻、太もも周りの筋肉を意識したストレッチを行いましょう。
さらに体幹を鍛える運動や、筋トレを取り入れることで、骨盤が安定し痩せやすい体へと近づくことができます。

\産後のぽっこりお腹を引き締める方法はこちら/

産後は体重が落ちやすい!無理せず自分のペースで体重を戻そう!

産後は痩せやすい時期がある一方で、逆にダイエットをするのは避けた方がいい時期もあります。ダイエットに適さない時期に無理をすると、体調不良を起こし育児にも影響を及ぼしかねないので注意が必要です。

また、産後急に体重が減ったり、妊娠前の体重以上に痩せてしまったりする場合は、何かしらの異変や病気が隠れている可能性もあります。
産後の体重管理で気になることがあれば、必ず医師にご相談ください。

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