赤ちゃんは一般的に生後6ヶ月頃から乳歯が生え始め、虫歯のリスクが発生します。
1本目の歯が生えた時から口腔ケアが必要になりますが、赤ちゃんにとって歯磨きは未知の体験。
嫌がったり、うまく磨けなかったりすることもあるでしょう。
そこで今回は、歯科医監修のもと、赤ちゃんの歯磨きを始める時期、成長に合わせた歯磨きのやり方・進め方を詳しく解説します。
歯学部卒業後、都内大学病院歯科口腔外科にて勤務。麻酔科研修を経て総合病院口腔外科・一般歯科にて口腔外科学会認定医として従事する。その後、2014年にデンタルクリニックビジューを開院。オーラルケアに関する事だけではなく、栄養学、漢方など幅広い視点で患者様の健康をサポートしている。現在は、一児の母としての経験を活かし、子供の歯やお口の健康についても積極的に情報を発信している。
赤ちゃんの歯磨きはいつから始める?
赤ちゃんの歯が生えてくる時期は個人差がありますが、生後6ヶ月頃になると下の歯が生えてくるのが一般的です。
下の歯が生えてきたら、虫歯予防のために歯磨きを始めましょう。
しかし、いきなり歯ブラシを口に入れると、赤ちゃんはびっくりして嫌がってしまうことがあります。大切なのは、赤ちゃんの成長に合わせて徐々に口腔ケアを始めることです。
成長に合わせた歯磨きの進め方・やり方
ここでは、成長に合わせた歯磨きの進め方・やり方を紹介します。
赤ちゃんの歯が生える時期・順番は個人差があり、開始時期はあくまでも目安です。
赤ちゃんの反応や歯の状態を確認しながら、それぞれのペースに合わせて歯磨きを進めていきましょう。
【〜5ヶ月】歯が生える前から口元に触れて慣れさせる
歯が生える前は、歯磨き自体は必要ありませんが、この時期から口元や口腔内を触られることに慣れさせておくことで、歯磨きをスムーズに始められるようになります。
赤ちゃんの機嫌が良いときに、優しく話しかけたり歌ったりしながら、頬や唇、口の中を触ってスキンシップをとりましょう。
<スキンシップのとり方>
- 手のひら全体で頬を触る
- 指の腹で唇をツンツンと触る
- 清潔な指で口腔内をマッサージする
寝かせ磨き(仕上げ磨き)の姿勢に慣れてもらうために、赤ちゃんを仰向けに寝かせて膝の上に頭をのせ、のぞきこみながら行うのがおすすめです。
【6ヶ月〜】下の歯が生えてきたら歯固め
下の歯が生えてきたら、歯磨きスタートです。
歯の生え始めは、歯の汚れを落とすことよりも、歯磨きに慣れさせることを目標にするのがポイントです。
以前は、ガーゼ磨きから始めることが一般的でしたが、最近では歯ブラシに早く慣れさせるために、歯が生えるタイミングから歯ブラシを持たせたり、口にくわえたりするのが良いとされています。
歯が生えてきたら、歯ブラシ型の歯固めを使って歯を軽くこすってあげましょう。
シリコン製の小さいギザギザがついていて、口に入る部分が小さく、安全ガードのついた歯固めがおすすめです。
赤ちゃんに持たせて遊ばせると、歯磨きトレーニングや習慣づけに役立ちます。
歯固めは歯が生えてきたときの歯茎のむず痒さを緩和し、赤ちゃんの歯や顎の発育促進やものを口に運んでかむ訓練にもなります。
【8ヶ月〜】歯ブラシを使い始める
赤ちゃんの歯が生えてくる時期には個人差がありますが、生後8ヶ月頃になると上の前歯が生えてきて、上下前歯4本になることが多いです。
離乳食やミルクの汚れが歯に付着することで虫歯のリスクが高まるため、上の前歯が生えてきたら本格的に歯ブラシを使い始めるようにしましょう。
口腔内を傷つけないように、ヘッドが小さく、毛先が柔らかい歯ブラシを選ぶのがポイントです。はじめは、歯ブラシの毛先でツンツンと歯に触れて、嫌がらなければ優しく磨いてあげましょう。
歯磨きに慣れることが大切なので、赤ちゃんの機嫌が良いときに1日1回行い、慣れてきたら毎食後の習慣を目指しましょう。
【1歳〜】自分磨き用歯ブラシで自分磨きの練習を始める
1歳を過ぎると前歯が上下8本になり、奥歯が生え始めます。
赤ちゃんがスプーンが持てるようになったら、自分磨きの練習を始めましょう。
自分磨き用の歯ブラシと仕上げ磨き用の歯ブラシを用意して、毎食後に自分磨き用の歯ブラシで磨かせたあと、大人が仕上げ磨きをします。
『食べたら歯磨きをする』という習慣をつけることが大切なので、口に入れて噛んでいるだけでも問題ありません。
喉を突く恐れがあるため、自分磨き用の歯ブラシには安全ストッパーがついているものや、柄の部分が柔らかく曲がるものを使うと良いでしょう。
歩き回ったり遊んだりすると危ないので、歯ブラシを持たせているときは安定した姿勢で座らせて、目を離さないようにしましょう。
1歳を過ぎると離乳食が進み、食事やおやつで砂糖を摂るタイミングが増えてきます。
赤ちゃんが嫌がるときは無理をしなくても良いですが、就寝中は唾液量が減って虫歯のリスクが高まるため、夜の仕上げ磨きはしっかり行うことが大切です。
【1歳半〜】仕上げ磨きを強化する
1歳半を過ぎると奥歯が4本生えてきて、乳歯が生え揃ってくるため、虫歯ができやすくなります。
奥歯など歯間がつまっている箇所は、歯ブラシだけでは汚れが取りきれないので、子供用フロスを使って歯間の汚れを取り除きましょう。
特に注意が必要なのが、1歳7ヶ月から2歳7ヶ月までの『感染の窓』と呼ばれる時期です。この時期は特に虫歯菌に感染しやすく、虫歯になりやすいので、しっかり予防することが大切です。
逆に、この時期に虫歯をしっかり予防しておけば、大人になってからも虫歯になりにくいというメリットがあります。
自分磨きだけではどうしても磨き残しがあるため、小学校入学までは毎食後、それ以降小学校卒業までは、夜だけでも仕上げ磨きを徹底して行うようにしましょう。
\仕上げ磨きのやり方についてはこちら/
先輩ママはどうしてる?歯磨きを嫌がる赤ちゃんへの対処法
「歯磨きを嫌がって思うように磨かせてくれない…」そんな悩みを抱えるママも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、先輩ママ300人に聞いた「歯磨きを嫌がらないように工夫したことで最も効果があったことは?」というアンケート結果(調査:2024年)をもとに、歯磨き嫌いを克服する5つの秘訣をご紹介します。
【1位】歯磨きができたことを褒める
大きく口を開けられた時、噛まずに磨かせてくれた時などとにかく大袈裟に褒めるようにしたら、歯磨きを嫌がらなくなった
とにかく褒めまくりました!口が上手に開けられたね!すごいな!おにいさんだなあなど。
○○ちゃんが歯磨きが上手でママは本当に助かる。いつもありがとう。と子供を持ち上げるようにしたら得意げに歯磨きをさせてくれるように。
もっとも多かったのは、『歯磨きができたことをたくさん褒める』という回答でした。
お母さんが怒ったりイライラしたりすると、赤ちゃんは歯磨きに苦手意識を持ってしまいます。
「歯磨き上手にできたね!」「歯がピカピカになったね!」と、たくさん褒めてあげましょう。達成感が得られることで、歯磨きを楽しい時間と認識しやすくなります。
【2位】楽しい雰囲気で歯磨きをする
歯磨きの歌を歌ってリズム良く一緒に口を開けながら磨いてあげると良かったです。
お泊り会などで兄弟や友達と一緒に歯磨きをする。ほかの子供もやっていると何となく楽しい雰囲気になり、歯磨きをするのは当たり前のことと認識するようになる。
歯磨き自体に慣れてきたのと、歌を歌いながらとか好きなキャラクターの歯ブラシを使うようになど、楽しんでできるように工夫した。
楽しい雰囲気で歯磨きをすることも、赤ちゃんの歯磨き嫌いを解消する方法のひとつです。歌を歌ったり人形を使ったりして盛り上げると、歯磨きの時間を楽しんでくれるでしょう。
また、何をされているかわからなくて、不安になる赤ちゃんもいます。
手鏡で口腔内を見せながら、「次はこっち磨くよー」「きれいになってるね」などと声をかけて、楽しく磨いてあげるのも良いでしょう。
【3位】歯磨きについての絵本や動画を見せる
本人が好きなものと絡めて歯磨きを楽しませるとうまくいく気がした。我が家は乗り物が好きだったため歯磨き絵本「はみがきれっしゃ」を読み聞かせした。
歯みがきが楽しくなる絵本を毎日読み聞かせていると、どんどんと嫌がらなくなってきました。
NHKのいないいないばあやお母さんといっしょで歯磨きの様子を見たり、絵本で歯磨きを見たり、ベネッセの付録で歯磨きを教えたりしていたら気づいたら嫌がらなくなっていました
歯磨きを嫌がる赤ちゃんに、絵本や動画を見せるのも効果的な方法のひとつです。
絵本や動画を通して、歯磨きについて楽しく学べるだけでなく、お口の開け方、磨き方、歯磨き習慣の大切さなども身につけることができます。
赤ちゃんの年齢や好みに合わせて、色々な作品を試してみてください。
【4位】赤ちゃん用の痛くない歯ブラシを使用する
歯ブラシを変えたら嫌がらなくなりました。いままでは歯茎に当たって痛かったようです。
歯ブラシを変えたら急に嫌がらなくなった。
赤ちゃんが歯磨きを嫌がる原因として『歯ブラシが痛いから』ということがよくあります。赤ちゃんの口腔内はデリケートなので、歯茎や上唇の裏側にある『上唇小帯』というスジに歯ブラシが当たると痛みを強く感じます。
毛先が硬く、ヘッドが大きい歯ブラシは口腔内を傷つけ痛みの原因になるので、赤ちゃん用のヘッドが小さく、毛先が柔らかい歯ブラシを使用するようにしましょう。
\赤ちゃん用歯ブラシの選び方についてはこちら/
【5位】なるべく短い時間で終わらせる
なるべく機嫌が良い時に短時間で終わらせる。
アニメのCMの間で終わるよ〜。終わったら続きをみて良いよ。などご褒美を決めて短時間で行うようにした。
赤ちゃんが歯磨きを嫌がる理由のひとつは、歯磨き時間が長すぎることです。歯の本数が少ない内は1分程度、乳歯が生え揃ったら3分を目安に、短時間で仕上げましょう。
<歯磨き時間を短くするポイント>
赤ちゃんはまだ歯の本数が少ないので、すべての歯を丁寧に磨く必要はありません。虫歯になりやすい「歯と歯の間」「歯と歯茎の境」「奥歯の溝」を中心に磨きましょう。
磨く順番を決めておくと、磨き残しが減るだけでなく、時間も短縮できます。例えば、「上の歯の左側→上の歯の右側→下の歯の左側→下の歯の右側」というように、順番を決めて磨きましょう。
長い間口を開けているのは赤ちゃんにとって辛いため、呼吸や唾液を飲み込むタイミングを作ってあげましょう。こうすることで、息苦しさを感じることなく、快適に歯磨きを続けることができます。
\歯磨きを嫌がる理由についてはこちら/
歯が生えてきたら歯磨きスタート!歯磨きが好きになるように工夫をしよう!
赤ちゃんの歯磨きは、虫歯予防や歯磨き習慣を身につけるために重要なものです。
歯が生える前から準備を始めて、歯が生えてきたら歯磨きをスタートし、成長に合わせて適切な歯磨き方法を行なっていきましょう。
最初は嫌がる赤ちゃんが多いですが、今回紹介したポイントを参考に、工夫しながら、楽しく歯磨き習慣を身につけていきましょう。
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