1歳10ヶ月は、歩行が安定して行動範囲が広がり、自我が芽生えるなど子どもが目覚ましく成長する時期です。

一方で癇癪やイヤイヤへの対応、言葉の遅れなど、ママ・パパにとって苦労や心配が多くなる時期でもあります。

この記事では、医師監修のもと、生後1歳10ヶ月の子どもの発育、運動機能、食事、言葉の発達、注意点について詳しく解説します。

監修医師 高座渋谷つばさクリニック院長 武井 智昭
武井 智昭

武井 智昭

2002年 慶應義塾大学医学部卒業。2002年から2004年まで慶応義塾大学病院研修医。2004-2011 平塚共済病院 内科・小児科医長。2012年より神奈川県内のクリニックを経て、2017年なごみクリニック院長、2020年高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)

武井先生の監修した記事一覧
https://kodomonosiro.jp/specialist/specialist-2054/

目次

生後1歳10ヶ月の発達の特徴

ここでは、生後1歳10ヶ月の子どもの身長や体重、運動機能、食事、排泄などの特徴を紹介します。

身長・体重の平均

生後1歳10ヶ月~11ヶ月未満の赤ちゃんの身長・体重の目安は以下の通りです。

男の子女の子
身長78.9~89.8㎝77.5~88.4㎝
体重9.36~13.45㎏8.64~12.67㎏
出典:厚生労働省|平成22年 乳幼児身体発育調査報告書

1歳10ヶ月の子どもは生まれたときから身長が30〜40㎝程度伸び、体重は3〜4倍ほどに増えます。

ただし、子どもの身長・体重の伸びは個人差が大きいので、あくまで目安と考えてください。

平均値から外れていても、母子健康手帳に記載されている発達曲線から大幅に外れていなければ、心配する必要はないでしょう。

運動機能

1歳10ヶ月になると、足腰の筋肉がついて歩き方がスムーズになり、行動範囲が広がります。

成長が早い子のなかには、走ったりジャンプしたりできる子もいます。

しかし、この時期の子どもは身体に対して頭が大きいため、まだまだ転倒には注意が必要です。

上手に歩けるようになってからも、ママ・パパは引き続き見守ってあげましょう。

食事

大半の子が離乳食を卒業し、幼児食に慣れてきた時期といえるでしょう。

食事量の目安は、大人の半分程度です。1日に必要なエネルギー量は、男の子でおよそ950kcal、女の子で900kcalが目安となっています。

ただし、子どもの食べる量には個人差があり、あまり食べてくれない子もいます。

ママ・パパとしては気になるかもしれませんが、子どもが健康であれば大きな心配はいりません。

また、厚生労働省の平成22年乳幼児身体発育調査報告書によると、1歳9~10ヶ月の子どもの97.3%が離乳を完了しています。

1歳10ヶ月の時点でも母乳を飲み続ける子もいますが、最近は子どもが欲しがらなくなるまで授乳を続けても良いと考えられています。

母乳やミルクをたくさん飲むために食事の量が増えない場合は、断乳を検討してみてもいいかもしれません。

出典:厚生労働省|平成22年 乳幼児身体発育調査報告書

排泄

1歳~2歳のおしっこの回数は1日8~12回程度、うんちの回数は1日1~2回が目安です。

1歳10ヶ月になると膀胱が大きくなり、ある程度尿をためられるようになります。

排尿の間隔があき、おしっこが出たことが自分で分かるようになるのもこの時期です。

うんちは2~3日に1回しか出ない子もいますが、食欲があり普通の硬さであれば問題ありません。

いきむときに苦しそうな場合は、おなかを「の」の字にマッサージしたり足の前後運動をしてあげたりすると、うんちが出やすくなります。

睡眠時間

1歳10ヶ月の子どもに必要な睡眠時間の目安は12~14時間程度で、午後に1回お昼寝をすることが一般的です。

子どもが寝る時間・起きる時間はママ・パパの生活リズムに影響されやすいので、お昼寝で十分な睡眠時間を確保してあげましょう。

体力がついて昼寝をしたがらない場合は、午前中思いっきり遊ばせ、昼過ぎに静かな環境で絵本の読み聞かせなどをすると落ち着いて眠りやすくなります。

夜泣きについて

夜泣きは1歳10ヶ月になると落ち着いていることが多いですが、この時期になってもまだ続いている子や突然始まる子もいます。

夜泣きで起こされることによる睡眠不足は、ママ・パパにもつらいことです。

家族で早寝早起きして生活のリズムを整えたり、寝室の環境を見直したりすることで対処しましょう。

精神面(イヤイヤ期)

1歳半を過ぎるころからイヤイヤ期に入る子が多いです。「自分でやってみたい!」という自我が芽生え、自己主張が始まります。

しかし、自分でやりたいことや言いたいことがあっても、はじめはなかなかうまくいきません。

うまくできない・伝えられないくやしさが癇癪やイヤイヤとなって表れることがあります。

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生後1歳10ヶ月ではどのくらい言葉を話す?

ここでは、生後1歳10ヶ月の子どもの言葉の発達について解説します。

1歳10ヶ月の子どもの平均的な言葉の発達は?

厚生労働省の乳幼児身体発育調査によると、1歳6〜7ヶ月の子どものうち1語以上の単語を話せる子の割合は94.1%。

1歳10ヶ月頃になると、多くの子どもが「ちょうだい」「だっこ」など、してほしいことを単語で伝えられるようになります。

出典:厚生労働省|平成22年 乳幼児身体発育調査報告書

言葉の成長が早い子は2語文で会話できる

言葉の成長が早くおしゃべりが好きな子は、1歳10ヶ月の時点で「ママ、いた」「ジュース、ちょうだい」などの二語文を話すことがあります。

二語文が話せるようになると、子どもは2つの言葉につながりがあることを理解できるようになります。

より複雑な感情や思考も表現できるようになるので、コミュニケーションがさらに豊かになるでしょう。

1歳10ヶ月でしゃべらなくても心配しないで

1歳10ヶ月になっても意味のある単語を話さないと、周りの同月齢の子どもより言葉が遅いのではないかと心配になるママ・パパも少なくないでしょう。

この時期の子どもの発達は、個人差が大きいです。

お話が好きでおしゃべりな子もいれば、おしゃべりより身体を動かすのが好きな子もいるように、子どもには好みや得意不得意があります。

しゃべらなくても、話しかけたときに言葉を理解していれば、ほとんどの場合心配いりません。

呼びかけに反応をしていれば、2歳までは経過をみてよいでしょう。

男の子は女の子より言葉が遅い?

一般的に「男の子は女の子より言葉がゆっくり」と言われています。

これは、女の子のほうが男の子より言語をつかさどる脳の部位の発達が早く、言葉の発達が早い傾向があるためです。

一方、言葉の発達は性格や生活環境など性別以外の要因にも影響されるので、二語文を話すおしゃべりな男の子もいれば、しゃべらない女の子もいます。

そのため、一概に「男の子だから言葉が遅い」とは言いきれないでしょう。

生後1歳10ヶ月の育児で気をつけるべきこと

ここでは、生後1歳10ヶ月の子どもを持つママ・パパが気をつけるべきことを紹介します。

たくさん話しかけてあげよう

子どもは、ママ・パパからたくさん話しかけられることで言葉が発達します。

長い文章の理解はまだ難しいので、短く分かりやすい言葉でゆっくり話しかけることを心がけましょう。

また、ママ・パパが一方的に話しかけすぎると、子どもが自発的に話しにくくなる場合があります。
子どもの反応を見ながら話しかけることが大切です。

絵本の読み聞かせも子どもの言葉の発達に効果的です。

1歳・2歳向けの絵本は絵がはっきりしていたり仕掛けがあったりするため、子どもも興味を持ちやすいでしょう。

食事の味付け、おやつに気を配ろう

1歳10ヶ月の子どもは、消化機能がまだ未発達なので、離乳食を卒業してもすぐ大人とまったく同じものは食べられません。

調理の途中で子どもの分を取り分け、やわらかく薄味に仕上げてあげましょう。

素材の味をベースにして、だしを効かせると、薄味でもおいしく食べやすくなります。

また、この時期の子どもは胃が小さいため、一度の食事で多くの量を食べられません。

必要なエネルギーは、3回の食事に加えて2回のおやつでとるようにしましょう。

おやつも食事同様、薄味のものを選ぶことが重要です。

イヤイヤ期は正常な発達の証

1歳半以降のイヤイヤは、「自分でやりたかったのにうまくできなかった!」「こう言いたかったのにうまく言えなかった!」という子どもの気持ちの表れ。
正常な発達の証です。

ママ・パパには納得いかない理由であったとしても、イヤイヤには子どもなりの理由が必ずあります。

まずは、子どもの気持ちに寄り添い、共感してあげましょう。

また、子どものやる気を尊重することも重要です。

「自分でやったほうが早いから」とママやパパだけで行動すると、子どものやる気を否定し、自立心を育てるチャンスも失ってしまいます。

時間に制約がある場合は、途中までママ・パパが手伝って、最後だけ子どもに任せるのもおすすめ。

子どもは「自分でやった!できた!」という達成感・満足感を得ることができます。

成長度合いを見てトイレトレーニングを始めよう

2歳になる前に「トイレトレーニングを始めなきゃ!」と考えるママ・パパも多いでしょう。

トイレトレーニングでは、子どもが「おしっこやうんちが出そう!」と気づき、自分でトイレやおまるに移動して排泄できる脳や身体、神経の準備が必要です。

そのしくみができていない段階でスタートすると、子どもにとって大きなストレスとなり、ママ・パパのあせりやイライラも強くなります。

月齢にとらわれず、子どもの成長度合いを見ながら始めることが大切です。

次の3つの目安をクリアできていれば、トイレトレーニングを始めてみてもいいでしょう。

<トイレトレーニングのタイミングの目安>
  • おしっこの間隔が2時間程度あく
  • 1人でトイレに歩き、安定して便座・おまるに座れる
  • 出たときや出そうなときに伝えられる

「チー」「うんち」と言葉でうまく伝えられなくても、身ぶりや手ぶりで伝えることができていれば問題ありません。

上手にできたら大いにほめ、出なくても叱ったりがっかりしたりせず、子どもの努力を認めてあげましょう。

おもらしをしても叱らないで「ぬれて気持ち悪いね」と乾いたパンツ・オムツに取り替えます。

ママ・パパが気持ちにゆとりを持ち、子どもにストレスを与えないように進めていくのが成功のコツです。

歯みがきを習慣づけよう

1歳10ヶ月ごろになると、歯が16本(上下で8本ずつ)そろいます。
虫歯予防のため、歯みがきの習慣をつけましょう。

嫌がる子どもには、歯みがきが楽しくなるような絵本やYouTubeを見せてあげるのもおすすめです。

ママ・パパが一生懸命になるあまり、怖い顔をしていたり無理やり磨こうとしたりすると、子どもはますます嫌がります。

親子でリラックスして、楽しく歯みがきができる雰囲気を作りましょう。

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子どもの発達は個人差が大きい!あせらないで見守ろう!

歩くのが上手になり、自分でやりたい気持ちが芽生えるなど、1歳10ヶ月頃は目覚ましい成長を実感できる時期です。

ただし、この時期の子どもの発達には大きな個人差があります。

特に言葉に関しては、二語文を話し始める子がいる一方でしゃべらない子もいるため、わが子の発達が気になるママ・パパも少なくないでしょう。

1歳10ヶ月でしゃべらなくても、2歳になってから急に話し始める子も多いです。

子どもの成長のペースに寄り添い、ゆったりとした気持ちで見守ってあげてくださいね。

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