赤ちゃんの成長に合わせて夜中に授乳するのは大切なことですが、睡眠時間が削られてしまい疲れてしまうママも少なくありません。
「夜間の授乳を減らしたい」「できればやめたい」そう思っているママもいるでしょう。
そこで今回は、夜間授乳が必要な時期や、月齢別の授乳回数の目安、そして夜間授乳を減らすための具体的な方法について詳しく解説していきます。
<この記事で分かること>
夜間授乳が必要な時期・・・個人差があるが生後6ヶ月頃から必要なくなるケースが多い
月齢別・夜間授乳の必要性・・・月齢によって適切な対応が異なるので注意が必要!
夜間授乳の減らし方・・・添い乳をしていると夜間断乳が遠のくので注意!
白井 沙良子
慶應義塾大学医学部 卒業 / 小児科医として、都内クリニックにて勤務
株式会社Kids Publicにて、小児科・産婦人科へのオンライン医療相談を運営 / 毎日新聞「医療プレミア」にて毎月連載
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夜間授乳はいつまで必要?
赤ちゃんによって個人差はありますが、生後6ヶ月頃になると夜間の授乳が必要なくなるケースが多いです。
これは、生後半年を過ぎると離乳食が進むことで、食事から十分な栄養を摂れるようになり、お腹が空きにくくなることが大きな理由です。
また、離乳食の時間やお昼寝の時間が決まってくることで、生活リズムが整い、夜にしっかり眠れるようになることも関係しています。
なお、生後3〜4ヶ月頃から睡眠リズムが確立され始めるので、夜通し寝られる子もでてきます。
その場合も、身長や体重の発育に問題がなければ、夜中に無理やり起こして授乳する必要はありません。
【月齢別】授乳回数・夜間授乳の必要性の目安
ここでは、月齢別の授乳回数・夜間授乳の必要性について解説します。
新生児期
新生児期の赤ちゃんは、胃が小さく、まだ授乳に慣れていないため、一度にたくさんの量を飲むことができません。
そのため、約2〜3時間おき、場合によってはもっと頻繁におっぱいを欲しがるでしょう。
とくに母乳は消化が早く、1日に10回以上授乳することも珍しくありません。
授乳量が足りないと、赤ちゃんに必要な栄養が不足し、体重が増えにくくなったり、脱水症状になったりするおそれがあります。
また、赤ちゃんに吸われる刺激によって、母乳の分泌が促されて、授乳リズムができてくるので、この時期は昼夜問わず、赤ちゃんが欲しがる時に欲しがるだけ飲ませる「自律授乳」が推奨されています。
2ヶ月頃
生後2ヶ月頃になると、赤ちゃんの口周りの筋肉が発達し、母乳やミルクを上手に飲めるようになるため、1回の授乳量が増え、授乳間隔も徐々に長くなってきます。
一般的には、約1〜3時間おきを目安に、赤ちゃんの様子を見ながら授乳することが推奨されています。
夜間授乳はまだ必要ですが、授乳のリズムが整いつつある時期です。
新生児期に比べて、夜間の授乳間隔も長くなることが多いですが、赤ちゃんが欲しがる時に、お腹いっぱいになるまで授乳してあげましょう。
3〜4ヶ月頃
個人差はありますが、3〜4ヶ月頃になると体内時計が働いて昼夜の区別がつき始め、夜にまとめて眠る赤ちゃんが増えてきます。
胃の容量も増えて1回に飲める量も多くなり、授乳間隔が一定になって母乳・ミルクともに1日6回程度に落ち着いてくるでしょう。
身長や体重などの発育に問題がなければ、夜間に無理やり起こして授乳する必要はありません。
一方で、夜間授乳が頻繁な場合は、夜間断乳をするかどうかは、医師との相談が必要です。
これは、夜間断乳によって赤ちゃんの成長に影響が出る可能性があるためです。
5ヶ月以降
生後5ヶ月〜6ヶ月は、離乳食を始める時期です。
離乳食で栄養を補えるようになるため、授乳の回数は1日5回程度に減ります。
離乳食の時間を決めて、規則正しい食事のリズムを作ることで、夜通し眠れるようになる赤ちゃんも増えます。
しかし、なかには夜中に頻繁に起きてしまう赤ちゃんもいます。
これは、空腹だけでなく、脳が日中の刺激を処理しきれずに起きてしまう場合や、単に安心したいがために、おっぱいを欲しがっている可能性もあります。
夜中に赤ちゃんが起きた場合は、すぐに授乳せず、少し様子を見てみましょう。
夜間授乳の減らし方・夜間断乳する方法
夜間授乳は、負担を感じていない場合や、赤ちゃんとのコミュニケーションのひとつとして大切にしたい場合は無理にやめる必要はありません。
夜間授乳を減らしたい場合は、生後5〜6ヶ月以降に医療者に相談の上、下記方法を試してみましょう。
生活リズムを統一する
夜間授乳を減らすには、生活リズムを統一することが大切です。
起床時間や寝る時間、食事の時間などをなるべく毎日同じにして規則正しい生活を送ると、体内時計が働いて昼夜の区別がつき、夜にぐっすり寝てくれるようになります。
とくに、日光は体内時計を整える大切な要素です。
朝起きたらカーテンを開けて明るくし、昼間はよく体を動かす遊びをしましょう。
夕方からは照明を暗くし、静かな環境でリラックスできるような時間を作り、睡眠へと促します。
このような工夫をすることで、赤ちゃんは夜にまとまって眠りやすくなり、夜間の授乳回数を減らすことができます。
就寝前にたくさん授乳する
夜間授乳を減らしたいときは、就寝前にたくさん授乳するのもポイントです。
寝る前に十分な量を飲ませることで、夜にお腹が空いて起きてしまうのを避けられます。
寝かしつける前に、いつもより少し長めに授乳してあげると良いでしょう。
夜間に泣いても別の方法であやす
赤ちゃんは、「お腹がすいた」だけでなく、「甘えたい」「寝言を言っている」など、さまざまな理由で夜泣きをすることがあります。
そのため、夜泣きをしたからといって、すぐに授乳に頼るのではなく、原因ごとに適切な対応をすることが大切です。
夜泣きのたびに授乳で赤ちゃんを落ち着かせていると、赤ちゃんは「夜泣きをすればおっぱいがもらえる」と学習してしまい、授乳しないと寝付けなくなってしまうことがあります。
夜間授乳を卒業したい場合は、夜泣き時でも授乳以外の方法で赤ちゃんを落ち着かせるようにしましょう。
たとえば、背中をトントンしたり、子守唄を歌ったり、ぬいぐるみを持たせてあげたりするのも効果的です。
赤ちゃんもしだいに慣れてきて、夜間もぐっすり眠れるようになるはずです。
添い乳をやめる
夜間授乳を減らしたい場合は、添い乳は控えた方が良いでしょう。
赤ちゃんは、起きた時に眠った時と状況が変わっていると不安になってしまいます。
添い乳で寝かしつけると、眠りにつくときには「おっぱいを吸っていた」のに、起きたら「おっぱいがない」という状況の変化に不安になり、泣き出してしまうのです。
同様に、抱っこで寝かしつける習慣も、夜泣きの一因となる可能性があります。
寝かしつけの際は、赤ちゃんが覚醒した状態でベッドに寝かせましょう。
最初はなかなか寝てくれないかもしれませんが、根気強く続けることで、赤ちゃんも新しい寝かしつけに慣れてくるでしょう。
夜間授乳について気になる質問
ここでは、夜間授乳について気になる質問と回答を紹介します。
低月齢ですがほっておくと夜通し寝ます。起こしてでも夜間授乳させた方が良いですか?
新生児期は、授乳間隔が3〜4時間が目安のため、ぐっすり眠っていても4時間以上あく場合は起こして授乳した方が良いでしょう。
生後3〜4ヶ月以降の場合は、授乳量が足りていて体重増加が良好であれば、起こしてまで夜間授乳をする必要はありません。
ただし、夜間授乳の間隔は、赤ちゃんによって異なります。
心配な場合は小児科医にご相談ください。
夜間授乳をやめたいのですが乳腺が張って痛いです
夜間授乳をやめると、おっぱいが張って痛みを感じることがあります。
これは、授乳の間隔があくことで、おっぱいの中に母乳が溜まってしまうためです。
とくに、母乳量が多い場合は、夜間の授乳をやめると張りが強くなり、乳腺炎になる可能性が高まります。
おっぱいが張ってつらい場合は、痛みが和らぐ程度に搾乳するようにしましょう。
ただし、搾乳しすぎると、母乳の分泌量がかえって増えてしまう可能性があるので注意が必要です。
断乳に伴うトラブルや困りごとは、助産院で助産師に相談しましょう。
求められなくなるまで夜間授乳をしても問題ないですか?
夜間授乳は、赤ちゃんが成長するにつれて自然と回数が減っていくことが一般的です。
そのため、必ずしも夜間断乳をしなければならないわけではありません。
赤ちゃんが欲しがる限り、夜間授乳を続けても問題ありません。
夜間授乳の期間は個人差が大きい!各家庭に合った方針を決めよう!
夜間授乳をやめるタイミングは、赤ちゃんによって大きく異なります。
一般的には、離乳食が始まり、食事から十分な栄養が摂れるようになった生後6ヶ月頃を目安にすることが多いですが、必ずしもこの月齢でやめなければならないわけではありません。
夜間授乳は、赤ちゃんが成長するにつれて自然と減っていくものです。
夜間授乳をやめるか続けるかは、赤ちゃんの様子や、ママの体調、育児方針などを考慮して決めると良いでしょう。
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