「赤ちゃんのうんちの色がいつもと違うのはどうして?」「赤ちゃんが便秘になったときの対処法は?」など、赤ちゃんのうんちに関する悩みや疑問を感じているママ・パパは少なくありません。
今回は、小児科医監修の元、赤ちゃんのうんちの回数や量の目安、健康なうんちの色、便秘になったときの対処法などについて詳しく解説します。
山田 克彦
大分医科大学(現・大分大学)医学部 卒業 / 現在は佐世保中央病院勤務
専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接
【月齢別】一日のうんちの回数目安
赤ちゃんのうんちの回数や量、硬さは個人差がありますが、目安を把握しておくと判断材料のひとつになります。
月齢別の一日のうんちの回数・量・硬さの目安をチェックしておきましょう。
<一日のうんちの回数・量の目安>
月齢 | 出生時 | 1ヶ月 | 3ヶ月〜2歳 | |
---|---|---|---|---|
排便回数 | 母乳 | 7〜10回 | 3〜5回 | 1〜2回 |
ミルク | 2〜3回 | |||
便量 | 母乳 | 20〜30g | 60〜100g | |
ミルク | 40〜60g | 60〜80g |
<うんちの硬さの目安>
月齢 | うんちの硬さ |
---|---|
生後2~3日頃 | ネバネバとした状態 |
~4ヶ月頃 | 母乳:ゆるゆるとした液状またはペースト状のやわらかいうんち |
ミルク:粘り気のあるうんちで、母乳を飲んでいる赤ちゃんと比べるとやや硬め | |
5~8ヶ月頃 | 離乳食が始まるとうんちが一時的にやわらかくなったり硬くなったりする。生後7ヶ月を過ぎて離乳中期〜後期になると、徐々に固まり大人のうんちに近くなる。ただし、消化機能は未熟なため、食べたものや体調によって硬さは変わる。 |
健康なうんちは何色?
赤ちゃんのうんちの色は成長に伴って変化します。
食べたものや体調によってもうんちの色は変わるため、健康なうんちの色を把握しておきましょう。
黄色
母乳を飲む赤ちゃんはマスタードのような黄色、ミルクを飲む赤ちゃんは黄色や褐色がかった黄色のうんちをするのが一般的です。
うんちが黄色いのは、肝臓で作られる消化酵素「胆汁」に含まれるビリルビンという色素が混ざっているからです。
黄色いうんちをするのは健康な状態なので、基本的に心配いりません。
緑色
赤ちゃんは、緑色のうんちをすることもあります。
これはうんちに含まれている胆汁の色素が酸化して緑色に変化したもので、正常なうんちです。
ほかにも、離乳食で緑色の食材を食べたとき、赤ちゃんまたはママが薬を飲んでいるときは、緑色のうんちが出ることがあります。
茶色
離乳食が始まると、茶色のうんちがよく出るようになり、ニオイも大人のうんちに近づきます。
また、ミルクを飲んでいる赤ちゃんの場合、離乳食前から明るい茶色のうんちをすることがよくあります。
黒色
生後間もない赤ちゃんは、「胎便」と呼ばれる黒くてネバネバとしたうんちをします。
胎便は、出生後24時間以内に出るのが一般的です。
徐々に黄色や緑色に変わっていくので、初めてのうんちが黒くても心配いりません。
胎便ではなく、黒色のうんちが出ているときは、血が混ざっている可能性があるので注意が必要です。
黒くタール状のうんちが出ているときは、消化管の出血の疑いがあるので、早めに病院を受診しましょう。
赤色
新生児で赤色のうんちが出るときは、「分娩中に血液を飲み込んだ」「ママの乳首が出血していて母乳と一緒に血液を飲み込んだ」といった可能性が考えられます。
離乳食で赤色の食材を食べたときも、赤いうんちが出ることがあります。
このような場合は心配ありませんが、消化管や肛門などから出血している場合もあるので注意しましょう。
赤くて粘膜のようなものが混ざっているときは「細菌性腸炎」、いちごジャムのような真っ赤なうんちが出るときは、「腸重積症」の疑いがあります。赤いうんちの他に、繰り返し泣く、嘔吐、腹痛、発熱などの症状があるときは、早めに病院を受診しましょう。
白色(クリーム色)
うんち全体が白色や灰白色、黄色がかった白色をしているときは、何らかの影響で胆汁が分泌していない可能性があります。
新生児で何度も白いうんちが出るときは、生まれつきまたは生後間もないときに胆管が詰まってしまう「先天性胆道閉鎖症」の疑いがあります。
「ウイルス性胃腸炎」や「肝炎」の疑いもあるので、早めに病院を受診しましょう。
何日うんちが出なかったら便秘?
うんちの回数は個人差が大きく、「◯日うんちが出ないと便秘」とは言い切れません。
同じ月齢の赤ちゃんでも1日に数回出る子もいれば、数日に1回する子もいます。
毎日うんちが出ていなくても、赤ちゃんの機嫌がよく、便の状態もよければ心配はないでしょう。
ただし、以下のような場合は便秘の可能性が考えられます。
- 普段のうんちの回数より少ない(「毎日出ていたのに3日出ない」など)
- 母乳やミルクの飲みが悪い・吐き戻す
- うんちの量が少ない
- おならばかりでうんちが出ない
- 硬い便が出る
- うんちを出すときに苦しそうにしている
- 10分以上いきんでもうんちが出ない
便秘になった場合の対処法
新生児期〜1歳までの赤ちゃんは、「運動不足」「消化器官が未発達」「水分不足」といったことが原因で便秘を起こしやすいです。
赤ちゃんの便秘はよくあることですが、放っておくとうんちが硬くなって排便しにくくなってしまいます。うんちが溜まると直腸が伸びて便意を感じにくくなり、慢性化する場合もあるのでしっかりと対策をとりましょう。
ここでは、赤ちゃんが便秘になった場合の対処法を紹介します。
生活リズムを整える
生活リズムが乱れると排便リズムも乱れやすくなります。なるべく決まった時間間隔で母乳やミルク、離乳食を与えて、毎日同じぐらいの時間に寝かしつけるようにしましょう。
水分を与える
離乳食が始まると、母乳やミルクだけ飲んでいた頃よりも水分量が減ってしまい、便が固まりやすくなって便秘になることがあります。汁が多い離乳食を与えたり、白湯やお茶で水分補給をしたりすることを意識しましょう。
のの字マッサージ
便秘を改善するには、お腹のマッサージをしてあげるのも有効な方法です。
赤ちゃんの下腹部に手のひらを当てて、「の」の字を描くように優しくさすってあげると、腸が刺激され便意が促されます。
綿棒浣腸
赤ちゃんが便秘になったときは、綿棒浣腸で便意を促す方法もあります。
まずは、綿棒にベビーオイルやオリーブオイルなどをつけて、肛門周りを優しくつついて刺激してあげましょう。
うんちが出ないようであれば、綿棒を1〜2cm程度肛門に挿入し、10秒程度くるくると円を描くようにゆっくり回して刺激します。
刺激しているときにうんちが出始めることが多いので、赤ちゃんの下に替えのおむつや新聞紙を敷いておくと安心です。
赤ちゃん専用の便秘薬を使用する
赤ちゃん用の便秘薬はさまざまな種類がありますが、「マルツエキス(麦芽糖)」を主成分とした便秘薬は刺激が少なく、甘みがあるので赤ちゃんに使いやすいです。
ただし、新生児(1ヶ月未満)の赤ちゃんには使用できません。
副作用の心配はほとんどありませんが、アレルギー症状が出たことがある場合や他の薬を使用している場合は、かかりつけの医師に相談してから使用することをおすすめしますまた、使用して下痢を起こした場合は、服用をやめて医師に相談しましょう。
改善しない場合は医師に相談する
家庭でできる対処法を試しても改善しない場合は、医師に相談しましょう。うんちが出ないときは重度の便秘になっていたり、他の病気が関わっていたりする恐れもあります。
とくに、赤ちゃんに以下のような症状があるときは、すぐに病院を受診しましょう。
- 嘔吐を繰り返す
- 熱がある
- 食欲がない
- 血便が出ている
- ぐったりしている
- 1週間以上の便秘を繰り返す
- お腹がパンパンに張っている
うんちは健康のバロメーター!毎日うんちの状態をチェックしよう!
赤ちゃんのうんちは、健康状態を教えてくれる大切なサインです。
毎日のおむつ替えの際に、うんちの色や量、硬さ、回数などをチェックすることで、赤ちゃんの様子をより深く知ることができます。
赤ちゃんのうんちは、成長とともにコロコロと状態が変わりやすく、便秘になることも少なくありません。
うんちの状態だけでなく、排便時に苦しそうにしていないか、熱はないかなど、他の症状が出ていないかどうかも、合わせて観察するようにしましょう。
もし、赤ちゃんの様子がいつもと違うと感じたり、心配なことがあれば、早めに小児科を受診することをおすすめします。
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