免疫機能の低い赤ちゃんのミルク作りでは、哺乳瓶の消毒から、お湯の温度、作り方など注意するべきポイントがいくつもあります。
この記事では、助産師監修の元、粉ミルクの作り方や注意点をわかりやすく解説します。
湯冷ましを使った時短テクニックも紹介するので、忙しいママ・パパも是非参考にしてください。
高杉 絵理
総合周産期母子医療センターやクリニックで産科やNICUの経験を経て、世田谷区の保健センターやママ向けアプリ「ベビーカレンダー」で相談業務に携わる。
また、メディアでの妊娠・出産・育児に関する記事や動画の監修も行う。
安心して笑顔で子育てできるようなサービスを提供する場所として、品川区に育児支援HOUSE 助産師サロンを運営中。
2児の母としても育児に奮闘中で、助産師としての知識や経験を子どもたちから日々アップデート中。
<この記事で分かること>
粉ミルクの正しい作り方・・・表示通り、手順通りに作ることが大切!
簡単・時短テクニック・・・湯冷ましを使えば時短になる!
粉ミルクに適した水・・・基本的には水道水でOK
電気ポットは使って良い?・・・使っても良いが注意点がある!
粉ミルクの正しい作り方の手順
粉ミルクを作るときは、衛生面に注意すること、赤ちゃんが飲みやすい温度にすることが大切です。
粉ミルクの正しい作り方の手順をチェックしてみましょう。
【ミルク作りに必要な器具】
- 哺乳瓶
- 乳首
- スプーン
- 哺乳瓶ばさみ
- 専用ブラシ など
【Step1】手を洗い・器具を消毒しておく
ミルクを作る前にハンドソープなどで手を洗い、器具をよく洗って消毒しておきます。
消毒方法は、煮沸消毒・薬液消毒・電子レンジ消毒があります。
消毒方法 | 手順 |
---|---|
煮沸消毒 | 大きな鍋に器具が隠れるくらいの水を入れて沸騰させ、3〜5分程度煮沸します。 |
薬液消毒 | 大きめの容器に専用の薬液を入れ、器具を浸して消毒します。1時間以上浸すのが一般的です。 |
電子レンジ消毒※ | 市販の専用容器を使い、定量の水を入れて電子レンジにかけ、蒸気で消毒します。 |
哺乳瓶や器具の消毒は、再汚染を防ぐために使用の直前に取り出すことが推奨されています。
消毒した器具をすぐに使用しない場合は、カバーをかけて清潔な場所に保管しておきましょう。
その際、哺乳ビンを組みたてておけば、滅菌したビンや乳首部分からの汚染を防ぐことができます。
※注意
商品の変形や破損、事故に繋がる可能性があるとして、電子レンジ消毒を「不可」としているメーカーもあります。
商品パッケージや取扱説明書をよく読むようにしましょう。
参考:ピジョンお客様サポート
【Step2】哺乳瓶にミルクを入れる
哺乳瓶にミルクを入れます。
粉ミルクの場合、添付のスプーンを使ってすりきりで規定量を入れましょう。
粉ミルクやお湯の量は、表示に従い濃くしたり薄くしたりしないことが大切です。
【Step3】お湯を入れてミルクを溶かす
哺乳瓶に出来上がり量の半分〜3分の2程度までお湯(一度沸騰させた70℃以上のお湯)を注ぎ、乳首をセットします。
やけどしないように清潔なタオルを哺乳瓶に巻き、円を描くように振ってミルクを溶かします。
泡立つと赤ちゃんが飲みづらくなるので、強く振りすぎないように注意しましょう。
※注意
たとえ開けたばかりのミルクであっても、完全に無菌の状態とは限りません。
そのため、ミルクを作る際は、細菌を確実に死滅させるため、一度沸騰させた70度以上のお湯でミルクを溶かすことが重要です。
【Step4】出来上がり量までお湯を加える
乳首を外し、出来上がり量の目盛りまでお湯を注ぎます。
再度乳首をつけて、哺乳瓶に清潔なタオルを巻き、軽く振って混ぜ合わせます。
【Step5】ミルクを人肌まで冷ます
ミルクが混ざったら、哺乳びんに流水を当てるか、氷水を入れたボウルに哺乳瓶を浸して軽く振り、人肌(36〜40℃程度)まで冷ましたら完成です。
火傷を避けるために、腕の内側に2〜3滴ミルクを落として、温度を確認してから赤ちゃんに与えましょう。
【簡単・時短テク】湯冷ましを使うミルクの作り方
ミルク作りは、70℃以上のお湯を使うため、冷ます手間がかかります。
1日に何度もミルクを作るママやパパにとっては、これが負担に感じることも。
そんな時に役立つのが「湯冷まし」です。
ミルクを作る最後の段階で湯冷ましを使うことで、ミルクを適温にする時間を大幅に短縮できます。
【Step1】手を洗い・器具を消毒しておく
【Step2】哺乳瓶にミルクを入れる
【Step3】一度沸騰させた70℃以上のお湯を入れてミルクを溶かす
【Step4】出来上がり量まで『湯冷まし』を加える
【Step5】ミルクを人肌まで冷ます
湯冷ましを使うことで、ママやパパの負担が少なくなり、赤ちゃんを待たせずにミルクをあげられるのでぜひ活用してみましょう。
湯冷ましの作り方
水道水で湯冷ましを作る場合は、塩素や不純物を除去するために煮沸をします。
一般的な湯冷ましの作り方は以下の通りです。
- やかんや鍋に水を入れる
- 蓋を開けたまま強火で火にかけて沸騰させ、10〜15分以上煮沸する
- 煮沸が終わったら火を止め、人肌まで冷ます
湯冷ましの保存方法
湯冷ましの保存には、耐熱性があり、清潔に保ちやすい容器を選ぶことが大切です。
例えば、パッキンのない魔法瓶や耐熱ガラス瓶などがおすすめです。
湯冷ましは塩素が除去されていることで細菌が繁殖しやすいため、涼しいところにおいて保存しましょう。
常温でも冷蔵でも保存できますが、保存期間は1日以内です。
使いきれなくても、作ってから24時間経った湯冷ましは使わないようにしましょう。
ウォーターサーバーを使えばさらに時短に!
ウォーターサーバーを活用すれば、湯冷ましを作る手間だけでなく、お湯を沸かす手間も省けるため、ミルク作りがさらに時短になります。
赤ちゃんのミルク作りに使うなら、
- 水の硬度が60mg/L以下
- 中性の水(水に塩素や不純物が含まれていない)
- 70℃以上のお湯が出る
- 衛生的に使える(自動クリーン機能あり・メンテナンスサービスあり・洗浄しやすいなど)
といった条件を満たすウォーターサーバーを選ぶのがポイントです。
購入する前に、赤ちゃんのミルク作りに使えるか確認しておくと良いでしょう。
粉ミルクについての気になる質問
ここでは、粉ミルクについての気になる質問と回答を紹介します。
一度作ったミルクはどのくらい保存できますか?
世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)のガイドラインでは、調乳後のミルクは2時間以内に使い切るよう推奨されています。
これは、時間が経つとミルクに細菌が繁殖する可能性が高まり、赤ちゃんが病気にかかるリスクがあるためです。
また、赤ちゃんが飲み残したミルクは、たとえ少量であっても再利用してはいけません。
赤ちゃんの口に入ったミルクには、口の中の雑菌が混ざっているため、再び与えることは非常に危険です。
参考:厚生労働省:乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて
ミルクに使用する水は水道水とミネラルウォーターのどちらが良いですか?
赤ちゃんのミルク作りでは不純物が少ない「純水」を使うのが理想ですが、日本の水道水は水質基準が高く、ほとんどがミルク作りに適した軟水です。国内のミルクメーカーでは、水道水で作ったときに母乳に近い状態になるように設計しているため、水道水での調乳を推奨しています。
基本的にミルク作りは水道水で問題ありませんが、井戸水の場合は水道水と同程度の水質か定期的に検査する必要があります。
水道水を使用しない場合は、硬度120mg/L未満(できれば硬度60mg/L以下)の「軟水」のミネラルウォーターを使用しましょう。
「硬水(硬度120mg/L以上)」のミネラルウォーターを使用すると、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを過剰に摂取して、赤ちゃんの腎臓に負担がかかる場合があります。
また、軟水であってもアルカリイオン水や水素水は使用してはいけません。
外出する場合ミルクを作り置きしても良いですか?
栄養豊富なミルクは細菌が繁殖しやすいため、作り置きしたものを与えるのは危険です。
外出の際は、必ずその場でミルクを作りましょう。
計量が不要なスティックタイプやキューブタイプ、液体タイプを使うと手軽にミルク作りができるのでおすすめです。
ミルク作りにケトルや電気ポットを使用しても問題ないですか?
ミルク作りに電気ケトルや電気ポットを使う際にはいくつかの注意点があります。
ミルク作りに水道水を使う場合は、10〜15分以上煮沸するのが望ましいとされています。電気ケトルや電気ポットは沸騰すると自動的にスイッチが切れるものが多いため、煮沸時間が短く、十分に殺菌できない恐れがあります。
そのため、十分な煮沸時間が望めない電気ケトルや電気ポットを使用する場合は、水道水ではなく、軟水のミネラルウォーターを使用するようにしましょう。
ミルクを作る際は、一度沸騰させた70℃以上のお湯を使う必要があります。
電気ケトルや電気ポットを使用する場合は、70℃以上に保温できる機能がついているものを選びましょう。
たとえ使用するのがミネラルウォーターであっても、衛生環境を保つためにこまめにお手入れする必要があります。
開封した粉ミルクはどのくらい持ちますか?
開封した粉ミルクは、空気に触れることで品質が変化していくため、開封後1ヶ月を超えたものは使用しないようにしましょう。
赤ちゃんの飲む量や商品によって異なりますが、生後1ヶ月の赤ちゃんの場合、1ヶ月の粉ミルク800g缶の使用量の目安は以下の通りです。
人工栄養(完全ミルク) | 混合栄養(半分ミルク) | 夜だけミルク(1日2回) |
---|---|---|
約3缶半 | 1缶半〜2缶 | 1缶 |
器具の消毒はいつ頃までするべきですか?
生後間もない赤ちゃんは免疫機能が低いため、生後3ヶ月頃までは器具の消毒をした方が良いでしょう。
ただし、赤ちゃんの発達状況によっては、月齢が進んでも免疫機能が低いことがあります。
消毒を止める時期は、かかりつけの医師や助産師と相談して決めると良いでしょう。
今しか出来ないミルク育児を楽しもう!
赤ちゃんの健康や発育に欠かせないミルク。
安全に水分・栄養補給ができるように、ミルクの基本の作り方を覚えておきましょう。
ミルク作りは1日に何回も行うため、大変なときは時短テクニックを使うのもおすすめです。
今回紹介した情報を参考に、今しかできないミルク育児を楽しんでくださいね。
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