1歳3ヶ月ごろは、赤ちゃんがだんだんと幼児へ成長し始める時期です。よちよち歩きの子も増えて、とてもかわいい年頃ですね。
でも、子どもの成長には個人差があるため「まだ歩かないんだけど大丈夫?」「言葉が出ないのって普通?」「ご飯をあまり食べない……」などが心配なママ・パパもいるかもしれません。
この記事では、1歳3ヶ月児の身体的な発達のめやすや、どんなことができるようになってくるのか、歩行や食事・睡眠など、この時期特に気になる事柄について解説します。
武井 智昭
2002年 慶應義塾大学医学部卒業。2002年から2004年まで慶応義塾大学病院研修医。2004-2011 平塚共済病院 内科・小児科医長。2012年より神奈川県内のクリニックを経て、2017年なごみクリニック院長、2020年高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)
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1歳3ヶ月児の身長・体重・歯の本数の平均は?
1歳3ヶ月児の身体的な発達はどのようなものでしょうか。
厚生労働省が10年ごとに実施している「乳幼児身体発育調査」を参考に、この時期の子どもの平均的な身長・体重を紹介します。
ただし、子どもの成長発達には個人差があります。
母子手帳の成長曲線から多少外れてしまうことがあっても、カーブを描いて伸びており、乳幼児健診で指摘されることがなければ心配しすぎず様子をみていきましょう。
1歳3ヶ月児の身長・体重
1歳3ヶ月児の身長・体重は以下のとおりです。
男の子 | 女の子 | |
---|---|---|
身長 | 73.0~82.8cm | 71.1~81.0cm |
体重 | 8.19~11.75kg | 7.61~11.12kg |
1歳3ヶ月児の歯の本数
赤ちゃんは生後6~8ヶ月頃を中心に歯が生え始め、1歳3ヶ月頃には上下合わせて10本くらいの歯が生えている子が多いです。
ただし、調査によると1歳3ヶ月でも少ない子は2本、多い子では16本と個人差が大きいため、他のお子さんと比較して「本数が少ないのでは」とむやみに心配する必要はありません。
大切なのは、生えてきたばかりの歯をすこやかに保つ習慣をつけてあげることです。
次からは、1歳3ヶ月児の毎日のお世話について紹介します。お子様が楽しみながら歯みがきの習慣が身につくような工夫もお伝えしますので、ぜひ役立ててくださいね。
1歳3ヶ月でできること
支援センターや公園に遊びにいくと、同年代のお子さんに出会って「えっ、もう歩いてる!?」「こんなに言葉が言えるなんて…!」と驚くことがあるかもしれません。
1歳3ヶ月児の身体的・精神的な発達をまとめてみると以下のようになります。
- スプーンを持って食べようとする
- 親指と人差し指でものをつまめる
- 両手でコップを持ち、ほとんどこぼさずに飲む
- 1人で立ったり座ったりする
- はじめの一歩を踏み出す
- バンザイの姿勢で数歩歩く
- 安定して歩く
- 後ろ歩きができる
- 少し高いところによじ登れる
- 手すりを持って一段ずつ階段を上がれる
- 服を着せようとすると手足を入れようとする
- 自分で服を脱ごうとする
- 音楽に合わせて身体を動かす
- 「ちょうだい」「どうぞ」遊びができる
- 積み木を2個~3個以上積めるようになる
- ものの名前を覚えて、片言で言えるようになる
- 大人の動作をまねする
しかし、上記はあくまでも目安です。
いつできるようになるかはその子によって大きく異なるため、ゆったりと見守ってあげたいですね。
ただし保育園や乳幼児健診で受診をすすめられた場合は、すみやかに医療機関でみてもらいましょう。
心配事(1)「まだ歩かないんだけど…」
この時期のお子様についての心配事でとくに多いのが「なかなか歩き始めない」というもの。
同年代のお子さんが元気に歩き回っていると、うちの子はいつ歩くの?と気になってしまいますよね。
1歳3ヶ月では80~90%くらいの子が1人歩きを始めますが、その子の個性や体格により、立ったり歩いたりが他の子よりもゆっくりめなこともあります。
しかしおすわりやハイハイが自然にできていれば、1歳半頃までは様子を見てもおおむね大丈夫と考えられます。
また中には「初めの一歩」が出るのがこわいと思う赤ちゃんもいますが、急に歩くこともありますので、楽しい雰囲気で歩行を促してみてください。
心配事(2)「ご飯をあまり食べないのが心配…」
赤ちゃんの頃はよく離乳食を食べていたのに、1歳を過ぎてから食べムラや偏食が起こったり、食べる量が減ってしまったり、食事の途中で飽きて遊びはじめたり…といったお悩みもよく耳にします。
理由はその子によりいくつか考えられますが、成長にともなって味覚が発達するとともに意思表示もしだいにできるようになってくるため、いわゆる「好き嫌い」が出てくることが可能性として考えられます。
また、洋服のサイズ変化を思い出してみるとわかりますが、0歳児は急速に身体が成長しますが、1歳3ヶ月頃にはその速度が落ち着いてきます。
このために以前より食欲が落ちるケースもあるかもしれません。
対策としては、この時期の子どもは手づかみ食べを好みますので、ミニサイズのおにぎりやゆでた芋や野菜のスティックなど、スプーンだけでなく手で食べられるメニューを取り入れてみるのも1つの方法です。
また「朝はバナナしか食べなかったけど、昼と夜は色々な食材を食べられたからOK!」のように1日単位で考えると、栄養の偏りがあまり気にならなくなるでしょう。
子どもの食の好みは移り変わることも多いので、どうしても特定の食材を食べられない時は割り切って無理強いせず、食事が楽しい時間であるように気を配ってあげるのも大切です。
心配事(3)「他の子は言葉が出ているのに喋らない…」
言葉は、子どもの発達の中でも非常に個人差の大きい領域です。
1歳3ヶ月では、「ワンワン」「ブーブー」などの単語が言える子が多いですが、2歳代でもほとんど言葉が出ない、単語だけで2語文が話せない…というお子さんも少なくありません。
でもそんなお子さんがいざ話せるようになると、うるさいくらいよくしゃべる……というのは、ママたちのなかではとてもよく聞く話です。
無理にことばを出させようとするよりも、毎日の生活や遊びの中で「かわいいワンワンがいるね」「青いブーブーが走りまーす」など、できるだけ楽しい雰囲気でいろいろなことばを使って話しかけてあげると良いですね。
ただし、修正年齢(出産予定日を基準にした月齢)で1歳6ヶ月~2歳になっても意味のある単語がまったく話せない場合は、医療機関の受診または健診で相談した方がよいとされています。
また、ささやき声で呼びかけてみて振り向かない場合、聴力になんらかのトラブルがある可能性もあるため耳鼻科の受診をおすすめします。
1歳3ヶ月児の1日とお世話のポイント
1歳3ヶ月頃には、食事や睡眠のリズムがだんだんと赤ちゃんから幼児に近くなり、お昼寝も午前・午後の2回から、午後1回になる子も増えてきます。
この時期の赤ちゃんの1日の生活と必要なお世話をみていきましょう。
【1歳3ヶ月】の生活リズム
1歳3ヶ月児の生活リズムは以下の通りです。
0時 | 1時 | 2時 | 3時 | 4時 | 5時 | 6時 | 7時 | 8時 | 9時 | 10時 | 11時 | 12時 |
睡眠 | 睡眠 | 睡眠 | 睡眠 | 睡眠 | 睡眠 | 睡眠 | おむつ替え 着替え 朝食 歯みがき | 遊び | 遊び お片付け おむつ替え | 間食 歯みがき | 遊び お片付け おむつ替え | 昼食 歯みがき |
13時 | 14時 | 15時 | 16時 | 17時 | 18時 | 19時 | 20時 | 21時 | 22時 | 23時 |
睡眠 | 睡眠 | おむつ替え 間食 歯みがき | 遊び | 遊び おむつ替え | 夕食 歯みがき | 入浴 | 読み聞かせ | 睡眠 | 睡眠 | 睡眠 |
夜間の授乳が必要なくなり、夜9時頃から朝まで続けて眠る子が多くなってきます。
お昼寝時間が遅くなると夜の睡眠に影響することがあるので、朝は7時頃に起きて午前中はたっぷり遊び、昼食が終わったらお昼寝というサイクルを作ってあげたいですね。
食事は1日3食ママやパパと同じ時間にとり、内容も離乳食から幼児食へと近付いていきます。
おやつ(間食)は食事の一部と考えて、パンやお芋・ヨーグルト・果物などを用意してあげましょう。
食後に歯みがきをする習慣を身につけるには、はじめて歯が生えてきた生後6ヶ月頃から、歯固めタイプのシリコン製歯ブラシを持たせて慣らしていくのがおすすめです。
8ヶ月頃からは上下とも前歯が生えてくる子も多く、本格的に歯ブラシで磨く練習をはじめます。
機嫌の良いときに1日1回からスタートし、だんだんと毎食後に磨く習慣をつけていきます。
1歳3ヶ月頃になり、自分でスプーンを持てるようになったら、自分磨きの練習を始めましょう。
といっても、1人できれいにするのはまだまだ難しいので「食べたら歯みがきをする」という習慣をつけられればOK。
最後にママやパパが仕上げ磨きをしてあげましょう。
赤ちゃんや幼児の成長に合わせた歯みがきのやり方は、以下の記事でも詳しく紹介しています。
ぜひ参考にしてくださいね。
\歯みがきのやり方についてはこちら/
お風呂を済ませたら、ねんねの時間。
この時期には絵本の世界も少しずつ理解できるようになってきます。寝る前に読み聞かせの時間を作り、親子で楽しむのもすてきですね。
【1歳3ヶ月】ご飯のメニューと食べる量
母乳やミルクを卒業して食事から栄養をとれる=離乳完了の時期は1歳1ヶ月頃~15ヶ月(=1歳3ヶ月)頃が望ましいとされています。
やわらかめのご飯(軟飯)やごはん、薄味で食べやすいおかずであれば、大人と同じメニューも食べられるようになってきますが、離乳食の進み方には個人差がありますので、一歳半頃をめやすにその子のペースで進めればOK。
食べにくそうだったり、ミルクを欲しがったりするときは食後に牛乳やフォローアップミルクを足してあげましょう。
おやつ(間食)は基本的に午前と午後2回ですが、食事との間隔が空かずごはんが食べられないようであれば、午前のおやつをなくして昼食をやや早めにするのも良いですね。
1回あたりの食材の種類と量は以下のとおりです。メニュー例も参考にしてくださいね。
食材の例 | 一食あたりの目安量 |
穀類 | 軟飯90g~ごはん80g |
野菜・果物 | 40g~50g |
魚または肉または豆腐または卵または乳製品 | 15g~20g50g~55g全卵 1/2個~2/3個100g |
朝食メニュー例 | ロールパン 牛乳 野菜入りたまごスープ バナナ |
---|---|
昼食メニュー例 | 焼きうどん ゆでブロッコリー ヨーグルト |
夕食メニュー例 | 軟飯またはごはん 鶏団子の筑前煮風 かぼちゃサラダ 豆腐とわかめの味噌汁 |
【1歳3ヶ月】排泄と睡眠
1歳3ヶ月では、おむつはまだ取れない子が大半です。
なかにはおしっこやウンチが出ると動作や表情で知らせてくる子もいますので、「よく教えてくれたね」とたくさんほめてあげて、すぐにおむつを替えてあげましょう。
トイレトレーニングは焦らなくても大丈夫ですが、もし興味があるようなら、時々おまるに座ってみて親しんでおくと、いざトイレトレーニングを始めた時に怖がらないで座れるでしょう。
0歳代と比べて続けて夜もぐっすり眠るようになり、卒乳後には夜泣きが一段落する子が多いです。
しかし、逆に今まで夜泣きがなかったのに、急に夜泣きが始まる子もいます。
記憶力が発達して昼間のできごとや刺激を思い出すためとも言われていますが、正確な理由は分かっていません。
多くは一時的なものなので、やさしく声をかけて安心させてあげると良いですね。
ゆったり子育てを楽しもう!
今回は、1歳3ヶ月児に関する平均的な発達のめやすとできること、毎日のスケジュールとお世話などを紹介しました。
とはいえ、子どもの発達・成長は本当に個人差が大きいものです。
多くの自治体では1歳6ヶ月検診を実施していますので、必ず受診し、気になることがあれば相談をおすすめします。
それ以外はあまり他のお子さんと比べたり心配したりしすぎず、ゆったりと見守りながら、かけがえのない親子の時間を楽しみたいですね。
#1歳3ヶ月 #1歳3ヶ月成長