赤ちゃんのおちんちんの皮をむくかどうか、悩むママやパパは少なくありません。
医学的には「包茎」と呼ばれる状態ですが、ほとんどの場合、成長するにつれて自然に治ります。そのため、「無理にむく必要はない」というのが一般的な考え方です。
今回は、赤ちゃんの性器の皮がむける時期、無理にむいてはいけない理由、日々のケア方法などについて詳しく紹介します。
武井 智昭
2002年 慶應義塾大学医学部卒業。2002年から2004年まで慶応義塾大学病院研修医。2004-2011 平塚共済病院 内科・小児科医長。2012年より神奈川県内のクリニックを経て、2017年なごみクリニック院長、2020年高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)
<この記事で分かること>
赤ちゃんの性器の皮はむくべき?・・・基本的にむかない方が良い!
おちんちんの洗い方・ケア方法・・・トラブルを防ぐためにも日頃のケアが大切!
むきむき体操はやるべき?・・・推奨は出来ない!その理由は…
包茎の治療が必要なケース・・・症状によっては緊急性がある場合も!
男の子赤ちゃんの性器の皮は基本的にむかなくてOK
ここでは、赤ちゃんの性器の皮を無理にむいてはいけない理由、医師に相談が必要なケースについて詳しく解説します。
新生児はほぼ100%真正包茎
包茎には、包皮が全体を覆っていて亀頭を出せない「真性包茎」と、包皮をむけば亀頭を露出できる「仮性包茎」があります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、ほぼ100%真正包茎の状態で包皮と亀頭がくっついています。
成長とともに自然に剥がれていき、真正包茎の割合は1歳児で約80%、1歳〜5歳児で約60%、小学生で約30%と減少していきます。
思春期以降になると男性ホルモンの影響で性器が発達し、包皮が伸びやすくなるため、さらに真性包茎の割合は少なくなります。
思春期を過ぎても包皮をむいて亀頭を露出できない状態が続く場合は病的とされ、保険診療での治療が可能です。
ちなみに、成人日本人男性の約6〜7割は仮性包茎といわれています。
参考:日本小児科外科学会
無理にむいてはいけない理由
赤ちゃんの性器を包皮が覆っているのは、亀頭が傷ついたり細菌が入ったりしないように保護するためです。
赤ちゃんの性器の包皮と亀頭はくっついているため、無理に包皮を剥がそうとすると、包皮口が裂けてしまうことがあります。
傷ができると包皮が伸びなくなり、包茎を助長する恐れもあります。
また、無理にむくと、包皮を戻せなくなる「嵌頓(かんとん)」になってしまう場合も。
ほとんどの赤ちゃんは、成長するにつれて自然に包皮が剥がれていくので、無理に剥がす必要はありません。
小学校就学時までに自然にむけない場合は医師に相談する
赤ちゃんの包茎は、自然な発育過程の一環であり、多くの場合問題なく成長します。
しかし、包皮の癒着が強い場合は、自然にむけず亀頭が露出しないこともあります。
小学校就学時になっても自然にむけず、排尿に支障が出たり炎症が起きたりする場合は医師に相談しましょう。
包茎の治療が必要なケースは、のちほど詳しく紹介します。
おちんちんの洗い方・日々のケア方法
赤ちゃんの包茎は無理にむく必要はありませんが、おちんちんを清潔に保つケアはしっかりと行いましょう。
おちんちんが不潔だと、細菌が繁殖して炎症を引き起こす恐れがあります。
ここでは、おちんちんの洗い方・拭き方を紹介します。
おちんちんの洗い方
洗い方は以下の通りです。
【洗い方】
- 泡をつけた手で、おちんちんの根元から先端まで優しく洗います。根元のしわは指で伸ばしながら丁寧に洗いましょう。
- 陰嚢(タマの袋)も、しわを伸ばしながら裏側までしっかり洗います。
- 肛門まわりは汚れが溜まりやすいので、指の腹でやさしく洗います。
- 太ももの付け根も、指の腹で丁寧に洗います。
- 全ての部位を洗い終わったら、ぬるま湯でしっかりと洗い流し、清潔なタオルで優しく拭き取ります。
デリケートな部分なので、優しく洗ってゴシゴシこすらないようにしましょう。
おちんちんの付け根、陰囊(いんのう)のまわり、太ももの付け根は汚れが溜まりやすいので、丁寧に洗ってあげましょう。
おちんちんの拭き方
オムツ替えの際の拭き方は以下の通りです。
【拭き方】
- はじめに全体の汚れを拭き取ります。
- おちんちんのまわりの汚れを取ります。
- 陰囊(タマの袋)の裏側、シワ部分、太ももの付け根を拭きます。
- 肛門まわりの汚れを拭き取ります。
- お尻に残った汚れを拭き取ります。
オムツ替えのときはゴシゴシこすらず、優しく汚れや水分を拭き取ります。
汚れが溜まりやすい部分(おちんちんの付け根、陰囊のまわり、太ももの付け根)は、指におしり拭きを巻き付けて優しく丁寧に拭きましょう。
おちんちんにうんちがつくと炎症のリスクが高まるため、オムツ替えのときは前から後ろへ拭きましょう。
おむつの蒸れや汚れによって細菌が増えて、腫れや赤みなどが起こる場合があるため、おむつはこまめに取り替えてあげることが大切です。
ケアする際の注意点
赤ちゃんのおちんちんの先に白いカスが溜まっていることがありますが、これは皮脂や汗などが溜まってできた「恥垢(ちこう)」という垢です。
恥垢自体に害はなく、自然と排出されるので無理に取り除く必要はありません。
無理に包皮をむいて、内部まで洗わないようにしましょう。
汚れた手で触ると細菌が繁殖して炎症が起こるリスクが高まるため、赤ちゃんの性器は清潔な手で優しく触るようにしましょう。
男の子赤ちゃんの陰部に関する質問
ここでは、赤ちゃんの陰部に関する質問と回答を紹介します。
むきむき体操はいつ頃からやるべきですか?
むきむき体操は、積極的には推奨できません。その理由としては、「無理にむいてはいけない理由」で先述した通り
- 無理に包皮を剥がそうとすると、包皮口が裂ける
- 傷ができると包皮が伸びなくなり、包茎を助長する
- 無理にむくと、包皮を戻せなくなる「嵌頓(かんとん)」になる
ということが起きる可能性があるからです。
繰り返しになりますが、ほとんどの赤ちゃんは、成長するにつれて自然に包皮が剥がれるので無理に剥がす行為(むきむき体操)は、積極的には推奨できません。
子供の陰部はいつ頃まで親が洗うべきですか?
一般的には、お子さま自身が自分の体を洗えるようになる3〜4歳頃を目安に、徐々に自分で洗う練習を始めることが多いです。
慣れるまではきちんと洗えているかどうか、親がしっかり確認することが大切です。
3歳頃になったら、体に触れる時は「体を触るね」と声をかけるようにしましょう。
我が子であっても、体はあくまでその子自身のものです。
プライベートゾーンを理解させるためにも、声がけを大切にしてください。
包茎の治療が必要なケースはどのような場合ですか?
赤ちゃんの包茎は基本的に問題ありませんが、症状や状態によっては治療が必要です。
赤ちゃんの包茎で治療が必要なケースは以下の通りです。
包茎の状態 | 症状 |
---|---|
尿路感染症を繰り返す | 尿道口から細菌が入り、膀胱や腎臓に炎症が起こる症状。 |
亀頭包皮炎を繰り返す | 細菌や真菌(カビ)が繁殖して、亀頭包皮に炎症が起こる病気。赤みや腫れがあり、触らなくても痛みが生じることがある。 |
排尿障害がある | 包茎によって排尿時に尿が出にくい、尿が溜まって風船状に膨らむ障害。 |
嵌頓(かんとん)包茎 | 無理にむいた包皮が元に戻せなくなる症状。 |
包茎の治療方法には、抗生物質やステロイド軟膏を用いる治療や、皮膚を切除する外科治療があります。
赤ちゃんが痛そうにしている、赤みや腫れといった症状があるときは、医師に相談しましょう。
また、嵌頓(かんとん)包茎はむけた包皮が亀頭を締め付けている状態のため、長時間続くと血流が悪くなって包皮が壊死してしまうことがあります。該当する症状がある場合は、緊急で病院を受診してください。
新生児のほとんどが包茎!無理にむくのはトラブルの元に
新生児の男の子のほとんどは、おちんちんの皮(包皮)が亀頭を覆っていて、完全にめくれない状態(真性包茎)です。
これは自然な状態であり、成長とともに多くの場合、自然に改善していきます。
おちんちんを無理にむく必要はないですが、清潔に保つことはとても大切です。
今回紹介した洗い方や拭き方を参考に、赤ちゃんの性器を清潔に保ちましょう。
もし、腫れや炎症がある場合はかかりつけの小児科医にご相談ください。
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