赤ちゃんの首がすわると親御さんの子育てはかなりラクになります。
重要な成長の証でもある首すわりがいつ頃完了するのか、把握しておきたいところです。
また、なかなか首がすわらない場合、原因として何が考えられるのでしょうか。
この記事では首すわりを促す練習や、完了したかを確認する方法もあわせて解説します。
武井 智昭
2002年 慶應義塾大学医学部卒業。2002年から2004年まで慶応義塾大学病院研修医。2004-2011 平塚共済病院 内科・小児科医長。2012年より神奈川県内のクリニックを経て、2017年なごみクリニック院長、2020年高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)
武井先生の監修した記事一覧
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首すわりとは?完了したか確認する方法
「首すわり」とは運動発達のひとつです。
頭部を支える筋肉や神経などの発達によって、ぐらついていた首が安定し、自由に動かせる状態を指します。
首がすわると以下のようなことができます。
- おんぶ
- トイレトレーニング
- ヘルメット治療(頭にゆがみがある赤ちゃんの頭蓋矯正)
おんぶができるだけでも、両手が使えて、腰への負担も軽減されるので、おでかけや家事がグッとラクになります。
それでは首がすわったかチェックする方法をみていきましょう。
抱っこで判断
体が90度になるよう赤ちゃんを縦抱きした際、支えなしでも頭が前に傾かず、まっすぐに保てているとします。
これは首がすわったと判断する要素のひとつになります。
うつぶせで判断
赤ちゃんをうつぶせにしたとき、大人のサポートなしでも、自分の力で45度ほど頭を持ち上げられるなら、首すわりの判断材料にしましょう。
この段階なら、頭を左右に動かせるはずです。
仰向けで判断
仰向けになっている赤ちゃんの両手をとって、上体をゆっくり引き起こします。
首が倒れず、上体に頭部がついてくるなら、すでに首がすわっているかもしれません。
赤ちゃんの首がすわる時期はいつ?
赤ちゃんの首がいつ頃すわるのか、子育て中なら気になるところです。
目安となる時期を確認してみましょう。
すわる時期は3~4ヶ月が目安
個人差があること前提で、一般的に首がすわる時期は生後3〜4ヶ月です。
早産だったり、発育がゆっくりペースだったりすると、それよりも長くかかるケースがあります。
それを抜きにしても、頭の重量や大きさ、体型などで、首すわりが遅くなることは珍しくありません。
基本的には心配し過ぎなくてよいでしょう。
首すわりの完了は3、4ヶ月健診で確認
判断基準をクリアし、生後3、4ヶ月を経過していると、首すわりが完了したと思う親御さんは多いはずです。
しかし、自己判断はせず、生後3〜4ヶ月のときに受けられる健診で、専門家にチェックしてもらうのがおすすめです。
3、4ヶ月健診を受ける義務はないですが、この時期は首がすわる以外にも身体面で大きな成長がみられます。
そのため、首すわりに関して特に不安がなくても、受けておいて損はありません。
どのような手続きで受けられるのか、お住まいの自治体の公式HPなどで調べてみましょう。
早いと2ヶ月ですわる
首すわりが目安より遅い赤ちゃんがいる一方、早い子もいます。
厚生労働省が行った調査によると、生後2〜3ヶ月未満で首がすわった赤ちゃんは11.7%。
基準よりも早いケースはそれほど珍しくないのです。
なお、調査結果は以下の通りです。
一般調査による乳幼児の運動機能通過率(首のすわり)
月齢 | % |
---|---|
2~3ヶ月未満 | 11.7 |
3~4ヶ月未満 | 63.0 |
4~5ヶ月未満 | 93.8 |
5~6ヶ月未満 | 98.7 |
6~7ヶ月未満 | 99.5 |
上の表でわかる通り、生後4ヶ月を過ぎるとほとんどの赤ちゃんは首がすわります。
子どもの成長に関することになると、つい他の子と比べがちです。
しかし、多くの場合は焦らなくても大丈夫です。
首すわりが遅い、すわらない原因は?
個人差があるとはいえ、生後4ヶ月を過ぎても首がすわらないと心配になるでしょう。
首がすわるのが遅い、すわらない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
疾患
首すわりを遅くする原因として考えられるのは「疾患」です。
赤ちゃんは運動発達の過程で、座る、立つ、歩くといった基本的な動作を身につけていきます。
その初期段階に首すわりは位置しますが、疾患によって運動発達がスムーズに進まないと、遅れるケースがあります。
原因になり得るのは、たとえば以下のような疾患です。
- 脳、脊髄、筋肉に関わる疾患
- 先天性代謝異常症
- 染色体異常 など
運動発達の遅れに疾患が必ず関係しているわけではありません。
原因が特定されないまま、いつしか運動発達が進み、首がすわることもあります。
知的障害の可能性は?
「首すわりが遅いかも」と不安を抱いたことがある親御さんは、原因について情報を得ようと、ネット検索をした経験があるでしょう。
さまざまなサイトを見るなかで、首すわりと知的障害の関係について目にした人はいるはずです。
前述した脳の疾患や先天性代謝異常症、染色体異常は、知的障害を合併しているケースが存在します。
それゆえ、5か月でも首がすわらない場合、運動機能の低下の他、知的障害や他の神経筋疾患の可能性は否めません。
ただし、生後3、4ヶ月頃の状況のみでは知的障害と判断するには難しい時期です。
それよりも後の時期に、保育園などで同じ歳の子どもより、我が子の言語の発達が遅れていることから、知的障害に気づくケースが多くあります。
首がすわらないことと知的障害は必ずひもづくものではありません。
ただ、首すわり以外の発達について気になる部分があるなら、かかりつけの小児科の医師に相談すると安心でしょう。
首すわりを促す練習方法は?
首がすわってもいい頃なのに兆しがないなら、首すわりを促す練習を試してみてはいかがでしょうか。
方法は次の通りです。
うつぶせの状態で視線を動かさせる
うつぶせの体勢で頭を持ち上げるには、首の筋肉を発達させなければなりません。
筋肉の発達を促すためには、動かすことがポイントです。
強制しなくても自然に首が動くよう、以下の手順を試しましょう。
- 手は前に出す形で、うつぶせにする
- 赤ちゃんの視界の範囲で、おもちゃなどをゆっくり動かす
- それを赤ちゃんが視線で追うようにする
この方法なら、赤ちゃんの興味を引いて楽しませつつ、首をすわらせる練習ができます。
その際は、首を激しく動かさせることなく、短時間のトレーニングにとどめましょう。
前が見えるように縦抱きする
縦抱きしても、首が倒れないようにする練習も有効です。
- 抱っこする側の片手を赤ちゃんの片側の膝の下へ
- もう片方の手で赤ちゃんの上半身を支える
- 赤ちゃんの両手は前へ出す
- 体勢に慣れた様子なら、赤ちゃんの重心をゆっくりと少しだけ前へ傾ける
上記のステップで、さらに首すわりを促しましょう。
前方が見える状態で抱っこすると、赤ちゃんの視界が広がります。
すると、好奇心をくすぐれるので、身体面以外の発達にも貢献するはずです。
首がすわるまで気をつけるべきこと
首がすわる前の赤ちゃんのお世話で、気をつけるべきことがいくつかあります。
どんな注意点があるのか把握しておきましょう。
必ず後頭部を支える
おっぱいをあげるときなど縦抱きをする際は、必ず後頭部を支え、首が倒れてしまわないようにします。
首筋が不安定な時期は、体を安定させやすい横抱きが安心です。
うつぶせのまま寝かせない
首がすわらないうちは、うつぶせの状態から、自力で頭を持ち上げることができません。
赤ちゃんがうつぶせになっているときに「少しだけ」と目を離すと、その間に鼻や口がふさがり、呼吸ができなくなってしまうリスクがあります。
窒息死を招く危険性もあるので、首すわりの練習時以外は、仰向けに寝かせましょう。
なお、鼻や口がふさがれやすい柔らかい布団やソファなどの上で首すわりの練習をするのは避けてください。
前開きの服を着せる
首がすわっていないときに、服を頭からかぶせて着せようとすると、首がぐらつき上手くいきません。
無理に頭を通そうとすれば、首に負担をかけてしまいます。
しかし前開きの服なら、襟ぐりに頭を通さずに済みます。
赤ちゃんの安全を守り、着せる時間もかからないのでおすすめです。
首すわりは赤ちゃんの世界を広げる
首すわりが完了すれば、うつぶせの体勢から自力で頭を上げられます。
それまで、仰向けになって上を見るか、親御さんに抱っこされて、支えられながら周りを見るかくらいしかできなかった赤ちゃん。
それが自分の力で前を見られるようになるのです。
初めは短い時間でも、そのときに見える景色は赤ちゃんの世界を広げてくれます。
そこから体や運動機能がどんどん発達していき、座って、立って、歩いて、走って……と目まぐるしく成長していきます。
生活の中で新しい発見を次々にしていくお子さんを見るのは、日々育児に奮闘する親御さんにとって嬉しいものです。
首がすわった後に待っている、我が子のさらなる成長を楽しみにしましょう。
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