卵はタンパク質以外にもビタミンやミネラルが含まれ栄養価が高い食材です。

一方で、離乳食で卵を使う際には、アレルギーの心配からどのように進めていったらよいか、迷う方は多いでしょう。

この記事では、離乳食の卵の進め方から調理方法、アレルギー対策についても詳しく解説していきます。

監修管理栄養士 株式会社Wellness lead 代表取締役  武井 香七
武井 香七

武井 香七

帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業

横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務

株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て

株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

目次

離乳食の卵(卵黄・卵白・全卵)の進め方

卵白は、卵黄よりもアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が含まれているため、アレルギー症状が出やすいと言われています。

そのため、卵黄→卵白→全卵の順番で進めていくのが重要です。

ここからは、離乳食における卵の進め方を順に説明していきます。

離乳食で卵を食べ始める前に

離乳食は、お粥(お米)、野菜、お米以外の炭水化物、タンパク質の順に進めていきます。

離乳食で卵にチャレンジするのは、他のタンパク質(しらす・白身魚・豆腐)に慣れてからが良いでしょう。

離乳食で卵を使い始めるのは、一般的には生後6か月頃からと言われています。
その後、卵白、全卵へと進んでいく際も月齢で区切られるケースが多いです。

ただ、同じ月齢でも離乳食を食べる量、食への興味、味や食感の好みなどは赤ちゃんによって異なります。

あくまでも目安として捉え、他の食材の進み具合や赤ちゃんの成長に合わせて卵を取り入れていきましょう。

生後6か月頃:耳かき1杯の卵黄からスタート

生後6か月になると離乳食を始めて1か月ほどが経ち、食べる量や食事時間のペースもつかめてきている赤ちゃんが多いでしょう。

離乳食で卵を使う場合は、まずは耳かき1杯の卵黄からスタートさせます。
卵はアレルギーを起こしやすい食材なので、少量ずつ増やしていくのが鉄則です。

初日は耳かき1杯、翌日は2杯、といった具合です。
1か月ほどかけて卵黄1/2〜1個を食べられるように進めていきます。

生後7〜8か月:徐々に卵白も取り入れる

卵黄を半分以上食べられるようになってきたら、徐々に卵白も取り入れていきましょう。

卵白を取り入れる際も耳かき1杯から始め、2か月ほどかけて全卵1/3個を食べられるように進めていきます。

卵白をあげ始めた頃は、量がわかるように卵黄と卵白を分けたうえであげるのがおすすめです。
卵白の量が増えてきたら、全卵を使ったレシピにも挑戦できます。

生後9〜11か月:全卵1/2程度

3回食が始まる離乳食後期(生後9〜11か月頃)では、全卵半分まで食べられます。

全卵を使えるため、固ゆで卵以外にも、卵焼きやフレンチトーストなどさまざまなメニューを楽しめるようになります。

味や食感にも変化がつけられるので、赤ちゃんのお気に入りのメニューが見つかるかもしれません。

離乳食の卵の進め方スケジュール

ここからは、卵を使う頻度や具体的なスケジュールについて見ていきましょう。

毎日あげてもOK?頻度について

卵は毎日食べさせても大丈夫ですが、他の食材とのバランスも考慮するようにしましょう。

卵には豊富な栄養が含まれていますが、豆腐や白身魚、肉には、卵では摂れない栄養も含まれています。

毎日違う種類の食材を少しずつあげることで、赤ちゃんは色々な栄養をバランス良く摂ることができます。

タンパク質の摂りすぎは負担がかかるので、他の食材とのバランスを考えながら量や頻度を調整しましょう。

スケジュール例

離乳食で卵をあげ始めるときは、細かく計量すると安心です。

スケジュール例

1週目:お休みをはさみながら耳かき1杯~3杯まで

2週目:耳かき4杯~小さじ1/3

3週目:小さじ1/2~小さじ1

4週目:小さじ1~小さじ2(卵黄1/3~2/3程度)

5週目:卵黄2/3+卵白耳かき1~2杯

6週目:卵黄2/3+卵白耳かき3~5杯

7週目:卵黄2/3+卵白小さじ1/2~小さじ1

8週目:卵黄1個+卵白小さじ1~2

9週目:全卵1/5まで

10週目:全卵1/4まで

11~12週目:全卵1/3まで

卵の大きさによっても、量は変わってきます。

慣れてきたら、倍量ずつ増やしていっても問題ないとされています。

離乳食の卵(卵黄・卵白・全卵)の調理方法

卵白に含まれるアレルギー原因物質は、しっかりと加熱することで効力を弱められます。

賞味期限内で、殻にヒビの入っていない新鮮な卵を十分に加熱して与えるようにしましょう。

ここからは具体的な調理方法を見ていきます。

離乳食の卵の調理方法は固ゆで卵が基本

離乳食の卵の調理方法は、固ゆで卵が基本です。

卵黄を使う離乳食初期と卵白を始める頃は、固ゆで卵にしてから食べやすいように形状を調整していきます。

固ゆで卵の作り方は、4ステップです。

固ゆで卵の作り方
  1. 鍋に卵と、卵がしっかりと隠れるくらいの水を入れる
  2. 火にかけ、沸騰してから15分しっかりと茹でる
  3. 水にとりすぐに殻をむく
  4. 白身と黄身に分ける

時間がたつと白身に含まれるアレルギー物質が黄身に移行してしまいます。
茹でた後は、すばやく殻を向き白身と黄身に分けましょう。

白身と黄身を分ける際は、白身に軽く包丁を入れます。
卵黄を丸いまま取り出すようにし、白身が残らないようにしましょう。

生後6か月頃:卵黄をペースト状に

まずは固ゆで卵を作り、黄身を取り出します。

スプーンなどで割り、中までしっかりと火が通っているか確認します。
オレンジ色の部分が残っておらず、全体的に黄色になっていればOKです。

次に、取り出した黄身を裏ごしをしてなめらかにします。

裏ごしをした黄身に少しずつお湯やだし汁を加え、ヨーグルトやポタージュのような柔らかさになるまで伸ばしていきます。

生後7〜8か月頃:卵白も少しずつ取り入れすりつぶす

この時期の赤ちゃんは、ごっくんすることに慣れ、舌で食べ物をすりつぶせるようになってきます。

卵白、卵黄ともに裏ごしをせず、粒が残る程度であげても構いません。

固ゆで卵をすり鉢ですりつぶしほかの食材と和えたり、溶き卵に水やだし汁を加えよく煮込んでスープ風にしたり、徐々にメニューのバリエーションを増やしていきましょう。

生後9〜11か月:刻んだ固ゆで卵、他の調理方法も

生後9〜11か月は、奥の歯ぐきでつぶして食べる経験を積む時期です。

噛んで飲み込むことが出来るようになるこの時期は、固形物もかなり食べられるようになります。
固ゆで卵は卵黄も卵白も3〜5mm角に刻んで使用できます。

固ゆで卵のパサパサした食感を嫌がる赤ちゃんもいるので、とろみをつけたり他の食材とあわせてサラダ風にしたりするとよいでしょう。

固ゆで卵以外にも、オムレツやそぼろ、フレンチトーストなど全卵を使った固形のメニューにもチャレンジできますが、いずれもしっかりと火を通すことを意識しましょう。

冷凍保存について

離乳食で使う卵は冷凍保存も可能です。

冷凍ストックができると時短になるため上手に活用していきましょう。
固ゆで卵は、卵黄部分のみ冷凍保存が可能です。

黄身を取り出し、裏ごしあるいはすりつぶした後にジップロックのようなチャック袋に入れ、平らにして冷凍庫にいれます。

その都度食べる量だけ取り出し、再冷凍はしないようにします。
食べる量が少ない離乳食初期は、お粥に混ぜてから冷凍するのもおすすめです。

全卵を使ったメニューも冷凍できます。卵焼きやフレンチトーストなどは、1回分に分けて冷凍しておくと便利です。

冷凍保存したものは1週間を目安に使い切りましょう。袋や容器に日付を書いておくと安心です。

解凍する際は自然解凍は避け、必ず加熱調理し火をしっかり通してください。
固ゆで卵の卵白部分は水分量が多く、冷凍してしまうと食感が変わってしまいます。

冷凍保存には不向きなため、大人の料理に取り入れて使いきってしまいましょう。

離乳食の卵のアレルギー対策

卵はアレルギーの心配がある食材ですが、過剰に怖がったり避けたりせずに取り入れていくのが大切です。

事前にできるアレルギー対策や症状が出てしまった際の対処法を知っておくことで、安心して進められます。

一緒に見ていきましょう。

アレルギー症状とは?

卵のアレルギー症状は、発疹や蕁麻疹といった皮膚症状が最も頻度が高いです。

次いで、下痢や嘔吐といった消化器症状、くしゃみや咳といった呼吸器症状が挙げられます。

呼吸困難やショック症状など重度のアレルギー症状は、他の食材に比べて出現頻度が低いとされています。

赤ちゃんの体調の良い時に

卵を初めて与える際は、赤ちゃんの体調が良い時にしましょう。

湿疹が出ている時は、皮膚のバリア機能が弱まっているため、免疫が過剰に反応し、アレルギー反応が出やすくなることがあります。

湿疹がある場合は、症状が落ち着いてから卵を少しずつ試してみましょう。

また、風邪やお腹を壊している時も、体に負担がかかるため卵は控えることが大切です。

卵は平日午前中にあげる

もしアレルギー反応が出てもすぐに小児科を受診できるように、卵をあげるタイミングには気をつけましょう。

夕食の時間帯だと病院がしまっている可能性もあります。
平日午前中に試しておけば、仮にアレルギー反応が出ても午後診療で診てもらえます。

あらかじめ、かかりつけの病院のお休みや受診時間を確認しておくと安心です。

よく加熱した卵を使う

卵はしっかり加熱することで、アレルゲン性が低下します。

加熱しても半熟状態だとアレルゲン性が低下しないため、15分程度の固ゆでにすることが重要という研究報告もあります。

また、生卵をかき混ぜたお箸と加熱後に盛り付けるお箸は別にするなど、調理道具にも気を遣いましょう。

参考:食品安全委員会

アレルギー反応が出た場合の対処法

アレルギー反応が出た場合でも、口周りが少し赤くなる程度であれば1時間ほどで症状がおさまることがほとんどです。

この場合は、自宅で様子を見てから受診の判断をしましょう。

逆に受診を急いだほうがいいのは以下の6パターンです。

早急な受診ケース
  1. 全身にひどい蕁麻疹がでている
  2. 泣き止まず、ずっと不機嫌
  3. 乾いた咳をしている
  4. ぐったりしている
  5. 呼吸が苦しそう
  6. 顔色が悪い

この場合は小児科や小児救急相談の窓口で相談をしましょう。

4.以降の症状が見られ、緊急性を感じた場合にはためらわずに119番に電話し救急車を呼ぶようにします。

受診後スムーズに治療してもらえるよう、症状の経過がわかるようにメモをとり、皮膚症状の場合は写真を撮っておくと安心です。

離乳食で卵を進める際のよくあるQ&A

離乳食で卵を進めていくにあたって気になる質問を集めました。

卵をあげる時期が遅い方がアレルギーは起きにくい?

卵をあげる時期を遅くしてもアレルギーの予防にはなりません。

むしろ、近年の研究では開始時期を遅らせることでアレルギー発症のリスクが高まるとも言われています。

自己判断することなく、適切な時期に始めましょう。

親がアレルギー体質の場合はどうしたらいい?

親がアレルギー体質の場合でも、避ける必要はありません。

アトピー性皮膚炎と診断されている、他の食材でアレルギーと診断されたなど他にも気になる点がある場合には事前に医師に相談しておくようにしましょう。

卵ボーロは早期からあげてOK?

卵ボーロは全卵が使われています。

アレルギーを引き起こしやすい卵白を試す前に与えるのは避けましょう。

卵ボーロは口溶けも良く「卵の練習になるのでは?」と考える方もいますが、全卵を食べられるようになってからあげるようにしてください。

卵を食べたがらない子へのおすすめのレシピは?

固ゆで卵は食べないけれど、卵焼きは喜んで食べる子もいます。

とろみをつけたり、手でつかみやすい形状にしたり、食感や形状、味を変えながらまずは食べられるメニューを探しましょう。

お気に入りの食材とあわせることで食べてくれることもあります。
無理強いすることなく少しずつ進めていくことが大事です。

卵は離乳食初期から少しずつ進めよう

卵は他のタンパク質にも慣れてきた生後6か月頃から、少しずつ取り入れていくと良いでしょう。

卵黄から始め、徐々に卵白、全卵へとステップアップしていくのが一般的です。

離乳食で卵を食べさせる際は、アレルギー症状がでた時に備えて小児科が開いている平日の午前中を選び、しっかりと加熱調理します。

アレルギーが出やすい食材のため警戒する方も多いですが、自己判断で遅らせたり避けたりすることは好ましくありません。

湿疹がある、親がアレルギー体質であるなど不安な場合は、保健師やかかりつけの小児科医に相談しながら取り入れていきましょう。

<栄養管理士 武井先生からのコメント>

卵は栄養価が高く、赤ちゃんにとって重要なタンパク質源ですが、アレルギーのリスクも考慮しながら少しずつ進めることが大切です。

卵黄から始め、卵白、全卵へと段階的に取り入れましょう。
赤ちゃんの発達や体調を見ながら、慎重に進めていってください。

また、他のタンパク質や食材もバランスよく取り入れ、食事の幅を広げることが大切です。
不安があれば、医師や管理栄養士に相談しながら進めることをおすすめします。

#離乳食 #卵 #アレルギー対策

verified_F8vP2z2yuN0sUHCkWzGp

\ SNSでシェアしよう!/

目次